「GC注記」、「重要事象」記載の上場企業は77社 コロナ禍以降で最少、記載の定着化進む
債務超過が4社
GC注記・重要事象を記載した77社を理由別に分類した。65社(構成比84.4%)が重要・継続的な売上減や損失計上、営業キャッシュ・フローのマイナスなどの「本業不振」を理由としている。原燃料価格や人件費などの上昇によるコスト増が深刻化し、採算性が悪化した企業が目立った。 次いで、「新型コロナ影響あり」を理由としたのが16社(同20.7%)、「資金繰り悪化・調達難」が10社(同12.9%)、「財務制限条項に抵触」が8社(同10.3%)、「債務支払条件変更・遅延」が6社(同7.7%)と続く。 債務超過に転落したのは、2023年3月期本決算の3社から1社増えて4社だった(一部、個別決算含む)。債務超過は上場廃止基準にも抵触するため、利益確保や増資などによる早急な資本増強策が求められる。 ※重複記載のため、構成比合計は100%とならない
製造、サービス、小売の3業種で75.3%
GC注記・重要事象を記載した77社の業種別では、製造業が29社(構成比37.6%)と最多で約4割を占めた。電気機器などの機械製品のほか食料品、化学、医薬品など扱い品は多岐にわたる。 以下、外食業者9社を含む小売業が17社(同22.0%)、サービス業が12社(同15.5%)、情報・通信業が9社(同11.6%)と続く。 母数が多い製造業のほか、小売業とサービス業が全体を押し上げ、上位3業種で58社(同75.3%)にのぼった。
東証スタンダードが6割
上場区分別では、東証スタンダードが47社(構成比61.0%)で最多。以下、東証グロースが17社(同22.0%)、東証プライムが9社(同11.6%)と続く。このほか、名証や札証などの地方上場が合計4社だった。 上場企業でも中堅クラスが集中する東証スタンダードが全体の6割を占めた。名門で実績がありながらも不振が続き、ビジネスモデルが揺らいでいる中堅企業や、業歴が浅く経営基盤が定まらない新興勢が多い。
「新型コロナ影響あり」は16社 ピークの約3分の1
新型コロナによる影響を要因の一つに挙げた企業は16社で、2023年3月期本決算の31社から半減した。 「新型コロナ影響あり」とした企業数はピークの2021年3月期には46社だったが、その後徐々に減少推移を辿り、5類感染症への移行が重なった当中間決算ではさらに減少した。コロナ禍の悪影響が次第に薄れつつある傾向がわかる。 ただ、業種別では、16社のうち小売業が8社と半数を占め、このうち外食産業が6社だった。顧客の働き方や生活スタイルの変化に対応できず、需要回復に至っていない状況もうかがえる。