悲願のJ1昇格を決めた横浜FC三浦カズは何を語ったか?「信じてもらえないのかもしれないが」
さらに名称をJ1参入プレーオフと変えた戦いで、コーナーキックを防ぎ切ればジュビロ磐田が待つ決勝戦へ駒を進められた、試合終了間際の最後のプレーで古巣の東京ヴェルディに苦杯をなめさせられた。カズはピッチ上ではなくベンチ前で、残酷な瞬間をぼう然と見つめるしかなかった。 昨シーズンは9試合、59分間プレーして無得点。今シーズンも3試合、109分間プレーしてゴールを奪えなかった。フォワードとして不本意な成績が続いても、決して下を向くことはなかった日々を、カズは「信じてもらえないかもしれないですけど」と断りを入れながらこう振り返る。 「上手くなりたい、上手くなるんじゃないかという気持ちでずっとやってきました。わからないことがあったら若手の選手たちにも『あのプレーはどうだった』とか『どうしたらいいかな』と聞くこともあるし、もちろんコーチ陣にも相談してきました。コーチ陣もみんな僕よりも若いけど、僕自身はそういうことは関係ないと思っているので、僕は誰にでも聞いています」 相談をもちかけられた若手には前出の斉藤や、愛媛戦で勝負を決める2点目を決めた22歳のMF齋藤功佑、夏場から左右の「翼」に定着してチームをけん引した22歳の松尾佑介と23歳の中山克広ら、カズが初代MVPを獲得したJリーグの黎明期には生まれていなかった世代も含まれる。 「僕としては当たり前のことを繰り返してきただけなんですけど、みんなにとっては『ここまで貪欲にやり続けられるものなのか』と映り、自分たちも頑張らなきゃと思うのかもしれないですね」 意識せずとも精神的な支柱を担ってきたカズを、首位のレイソル戦など、節目の試合に下平監督はベンチ入りさせてきた。J1昇格がかかった愛媛戦も然り。2点のリードを奪う理想的な試合展開から、満を持してカズをピッチに送り出した自身のさい配を、試合後の公式会見でこう振り返っている。 「出来すぎたストーリーです」