「自主映画で時代劇を撮る!」チャレンジ精神が生み出した映画『侍タイムスリッパー』の大ヒット
【ストーリー】 時は幕末、京の夜。会津藩士高坂新左衛門は暗闇に身を潜めていた。「長州藩士を討て」と家老じきじきの密命である。名乗り合い両者が刃を交えた刹那、落雷が轟いた。やがて眼を覚ますと、そこは現代の時代劇撮影所。新左衛門は行く先々で騒ぎを起こしながら、守ろうとした江戸幕府がとうの昔に滅んだと知り愕然となる。一度は死を覚悟したものの心優しい人々に助けられ少しずつ元気を取り戻していく。やがて「我が身を立てられるのはこれのみ」と刀を握り締め、新左衛門は磨き上げた剣の腕だけを頼りに撮影所の門を叩くのであった。「斬られ役」として生きていくために…。 「脚本がとにかく面白い」ということで、東映京都撮影所が特別協力しました。 ■大ヒット御礼で舞台あいさつ タイムスリップしてしまった会津藩士を演じた山口馬木也さんは岡山県出身の51歳。インターネットで検索したら、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』にも出ていて、「あ、この役の人か!」と分かりました。役者生活25年で、自身初となる長編映画での主演。インディーズであるからこそ叶ったこの主演でしょうけど、大ヒットで非常に盛り上がっているようです。 10月14日、東京の新宿ピカデリーで、大ヒット御礼の舞台あいさつがあり、監督や山口馬木也さんたちがそのままの衣装で登壇、「会津藩松平家家中、高坂新左衛門と申します」とあいさつして、大喝采だったそうです。 ■本格的な殺陣の魅力 ネタバレしちゃいけないので、あまりストーリーは言えないのですが、山口さんはまるで本当の江戸時代の人が降りてきたかのようにも見えるんです。もちろん表情も含めた演技がそうさせるのですが、もう一つは殺陣(たて)がすごいのです。京都撮影所といえば殺陣をずっと引き継いでいますが、その方々が指導しています。 演技の殺陣は竹光を真剣のように見せる技。つまり、刀の重さを感じさせることです。映画の中で演じられる殺陣が迫力満点なんです。言い過ぎかもしれませんが、世界的な大ヒットになった『SHOGUN将軍』で見た殺陣に遜色ない感じに見えました。これには、時代劇を引き継いできた日本の文化があるのかな、と感じました。
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