工藤会トップ野村悟総裁の親族が所有する土地、異例の強制競売開始決定…数千万円の賠償命令も支払われず
特定危険指定暴力団工藤会(本部・北九州市)トップで総裁の野村悟被告(78)(2審で無期懲役、上告中)の親族の所有となっている駐車場などについて、福岡地裁小倉支部が強制競売の開始を決定したことがわかった。同会が関与した事件の被害者側が、野村被告らを訴えた訴訟で数千万円の賠償を命じる判決が出たにもかかわらず、賠償金が支払われていないとして申し立てていた。指定暴力団トップに対する強制競売開始決定は異例。 【写真】工藤会トップで総裁の野村悟被告
決定は11月1日付。登記簿などによると、決定の対象は北九州市小倉北区の駐車場などの土地。このうち、駐車場については2020年から野村被告の親族の所有となっているが、同支部が今回、強制競売開始を決定し、差し押さえた。駐車場を巡っては、野村被告に所有権があった19年に同地裁が仮差し押さえを命じる決定を出していたが、その後、所有権が野村被告の親族に移転していた。対象の土地は今後、競売入札が行われる見通し。
野村被告は福岡県警の元警部が銃撃された事件や、歯科医師が刺傷された事件などの被害者から複数の民事訴訟を起こされ、計約8000万円の賠償を命じる判決が出て確定したり、金銭支払いによる和解が成立したりしている。今年10月にも、福岡高裁が同市で型枠工事会社会長が射殺された事件で、遺族が損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で野村被告らに3850万円の賠償を命じ、野村被告らは上告している。
野村被告側の資金については様々な見方があり、今回の強制競売開始決定について、関係者は「野村被告側の資金が枯渇している可能性がある」と話す。一方、ある捜査関係者は「工藤会自体は存続しており、隠し口座がある可能性もある。今後も支払いを求めていく姿勢が重要だ」としている。