カンボジアの子ども支援 滋賀出身・栗本英世さんの人生追う映画上映
カンボジアの子どもたちの支援に人生をささげた滋賀県出身の故・栗本英世さんの人生を追ったドキュメンタリー映画「OKAは手ぶらでやってくる」が大阪市西区の「シネ・ヌーヴォ(X)」で上映されている。8日まで。 栗本さんは同県近江八幡市の貧しい家庭に生まれた。キリスト教の牧師を目指して一時活動した後、中国や東南アジアを放浪。タイやラオスで人身売買やストリートチルドレンの実態に心を痛め、支援にかかわるようになった。 40代後半からカンボジアにわたり、NGO「カンボジアこどもの家」を設立し、孤児院や寺子屋をつくった。長く内戦が続いたカンボジアでは地雷が埋まった場所も多く、手作業で地雷を除去しながら学校を建て、井戸を掘った。各地の寺子屋で計約2万人が学び、その後は地元の公立小学校として引き継がれている。 栗本さんは多くの子どもたちや住民に慕われ、カンボジア語で「チャンス」を意味するOKAの名前で呼ばれた。いつも何も持たずにぶらりと現場を訪れることから、映画のタイトルになった。 2005年以降、闘病を繰り返した栗本さんは22年に71歳で亡くなったが、その後も関係者によって支援の輪が広がっている。 映画はNPO法人「映像記録」(大阪市北区)の牧田敬祐監督が製作。15年がかりで栗本さんの人生模様を追いかけた。牧田さんは「栗本さんは、売られる子どもを救いたいという強い思いで生きた人。若い人にもみてもらい、広い世界に目を向けてほしい」と話す。 1日までシネ・ヌーヴォ(06・6582・1416)で、2日から8日は併設のシネ・ヌーヴォX(同)で。15日から19日は神戸市長田区の「神戸映画資料館」(078・754・8039)でも上映。【鵜塚健】