撮影を振り返る彼女たちの会話自体が、まさに“青春そのもの” 「水深ゼロメートルから」
メイキング映像&未公開シーン、オーディオコメンタリーにサントラまで 充実の特典
プールサイドに腰掛けた4人の女子たちが彩る特製三方背ケースのパッケージには、87分の本編+スタッフ&キャストによる本編オーディオコメンタリー(副音声)や38分にわたる映像特典が収録されたBlu-ray ディスクに加え、「スカート」の澤部渡が手掛けた4曲入りのオリジナルサウンドトラックCDも同梱。映像特典の内訳としては、メイキング(28分)、未公開映像集(約7分)、予告映像集(特報/本予告)となっている。メイキングによれば、夏休みの設定だが、撮影時期は実はちょうど今から1年程前で、撮影期間は10日間。「ココロ(濵尾咲綺)とミク(仲吉玲亜)が“晴れ女”」だったそうで、天候には恵まれた。 濵尾と仲吉、ユイ先輩役の花岡すみれは、21年の舞台版から同じ役を続投。チヅル役を演じる清田みくりは実は泳ぐのが苦手で、劇中で披露するのはキャスター付きの椅子を使用した“エア水泳”がメインだが、撮影前に水泳部の動きを研究。野球部員も遠目だと多く見えるが、実際は常時4~5人で、スタッフがユニフォームを着てスタンバっていた。プールの底に落ちる影の位置をよく見ると、シーンごとの撮影の順番が前後しているのがバレる……といった裏話も満載。なかでも、チヅルが「女捨てすぎ!」と周りから揶揄される、衝撃シーンの誕生秘話は必聴だ。 全編にわたり、登場人物が<制服+ほぼ裸足>という青春映画もなかなか珍しい。オーディオコメンタリーの中に「劇中で本音をぶつけ合ったココロとミクに、成人式の日に二人でお酒を飲んで欲しい」という意見があったが、わずか数年前の原作執筆時や舞台公演、映画撮影時のことをすでに懐かしそうに振り返る彼女たちの会話自体が、まさしく“青春そのもの”であると痛感した。 文=渡邊玲子 制作=キネマ旬報社
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