漫画家の楳図かずおさん

　「まことちゃん」「漂流教室」などで知られる漫画家の楳図かずお（うめず・かずお、本名一雄＝かずお）さんが10月28日死去した。 　88歳だった。葬儀は近親者で済ませた。 　1936年、和歌山県高野町生まれ。奈良県五條市育ち。幼少期から漫画を描き始め、高校3年生だった55年に「森の兄妹」でデビュー。60年代、大蛇の恨みを買った少女が復讐（ふくしゅう）される「へび少女」、猫の妖怪がダークヒーローとして活躍する「猫目小僧」などのヒット作を生み、ホラー漫画家としての名声を高めた。 　72年、荒廃した異世界に小学校ごと飛ばされた児童らの生存競争を描いた「漂流教室」の連載を開始。小説や映画にもなり、この作品などで小学館漫画賞を受けた。76年からは、幼稚園児が主人公の「まことちゃん」を連載し、ギャグの才能をいかんなく発揮。登場人物が指のサインと共に叫ぶ「グワシ」も流行した。 　95年の休筆後はテレビ出演などに力を入れ、赤と白のボーダー柄の服で親しまれた。2018年「わたしは真悟」が仏アングレーム国際漫画祭で「遺産賞」を受賞。19年、文化庁長官表彰を受けた。22年、東京と大阪で開かれた個展で同作の続編となる新作絵画を発表し、話題を集めた。