施設や農地の維持厳しく 龍郷町嘉渡地区が事例発表 水土里活動シンポ
農地や農業用施設の保全管理活動などに取り組む水土里(みどり)サークルの鹿児島県シンポジウムが3日、鹿児島市の宝山ホールであった。県内3組織の代表が事例発表。龍郷町嘉渡の嘉渡環境保全会は「農業者の高齢化や担い手不足があり、施設や農地を今後どうやって維持していくか真剣に考えなければならない」と報告した。 水土里サークル活動は、国の多面的機能支払い交付金を活用した取り組み。2023年度末現在、県内40市町で計580組織あり、活動面積は約4万8500ヘクタール。 嘉渡環境保全会の則岡孝幸さんは「農地を次世代へ」のテーマで発表。活動を紹介して「組織が中心となって集落内外の人たちと交流の場をつくり、関心を持ってもらえるようにしていきたい」とも語った。 他の事例発表は、出水市の文化地区環境保全会と志布志市の野井倉下段地区環境保全協議会。 鹿児島大農学部の高山耕二准教授による基調講演もあった。演題は「野生鳥獣による農作物被害を防ぐコツ~動物と共生する農業とは」。取り組みとして①捕獲で生息密度を低下させる「個体群管理」②餌場(残さや放任果実など)や隠れ場(耕作放棄地など)をなくす「生息環境の管理」③電気柵や金網棚を設置して侵入を防ぐ「被害防除対策」―を挙げた。 水土里サークル活動は、除草などによって野生動物が安心して潜める場所をなくし集落や農地周辺に緩衝地帯を設ける効果を生んでいるとして、野生鳥獣被害防止対策としての意義を伝えた。 テーマの一つ「共生する農業」に向けては①動物とのすみ分け②耕種農業と畜産が有機的に結合した環境共生型農業の推進―を促した。
奄美の南海日日新聞