君島十和子“初めまして”の心得「年を重ねて肩の力も抜けてきた。TPOに気を配った話題と見た目を意識します」
大切なのは相手の気持ちに寄り添うこと
「初対面、またはまだ出会って間もない方とでスムーズに会話する秘訣。それは、相手の気持ちの寄り添うことではないでしょうか。思ったことを忌憚なく言えるのって素敵なことだと思いますが、受け止め方は人それぞれ。長年、顔を出してさまざまなことを伝えるという仕事をしていると、こちらの意図とは全く違う伝わり方をしてしまう場合もあるということが、身に染みてわかります。そしてアラ還にもなりますと、お仕事などで出会うのは圧倒的に年下の方ばかり。私のことを全く知らない方もいらっしゃるので、変な誤解を受けたくないんですね。スタート地点で誤解されると、仕事がものすごくやりにくくなりますし、ネット社会でもあるので、相手の方に寄り添った、より慎重な発言を心がけています。 40代になりたての頃は、こんな風には思えませんでした。美容への愛は今と変わらないけど、何にでも多様性があるということがまだわかっていなかった。とにかく美容を伝えたくて、みなさんに美しくなってほしくて、少し視野が狭かったかもしれません。正義も正解も1つではない。経験を積んだことでそれがわかった。自分だけが絶対に正しいのではない。そこを忘れなければ、自分の主義主張を曲げずとも、柔らかく人と接することができるんです。 自分を特別視しない、ということも大事だと思います。若い頃、JALのキャンペーンガールをやらせていただいたことがあります。その期間中は、スタッフの皆様だけでなく、大企業のずっと年上の方達からもとても手厚く、至れり尽くせりな待遇をしていただいていました。だからといって、“自分が偉い”と勘違いすることはなかったのですが、それが終わった瞬間に、あの特別扱いは期間限定のものだったと思い知りました。社会ってそんなに甘い場所ではないんですよね。その後もモデルや女優のお仕事をさせていただいていたのですが、まず自分から動かなければずっと現場に溶け込めないまま。また、当時にいろんな人たちを見たこともいい経験でした。雑誌の専属モデルをしながら、バブル時代の華やかな夜遊びに勤しむモデルさんたち、一方では女優を夢見て、昼は工事現場で働きながら、レッスンを頑張る女の子たち。どちらもキラキラと輝いていて羨ましかったのですが、私はどちらにもなじめなくて、宙ぶらりんな数年間を過ごしました。楽しい経験ではなかったですが、それがあったからこそ、いろんな考え方、境遇の人がいることが分かりましたし、寄り添い方を学べたのは良かったと今は思います」