京都市長選 松井孝治氏が薄氷の勝利 与野党相乗りで何を守ろうとしていたのか...
さらに加えれば、オール与党の松井陣営にとって京都へ本格進出してくる「維新」を食い止めたかったという事情もあったろう。村山氏に架空の政治資金パーティーの疑惑が持ち上がらなければ維新と前原誠司氏が代表を務める教育無償化を実現する会などが推薦し続け、変化を求める京都市民の受け皿となったはずだ。共産だけでなく、そもそもは維新からも京都を守りたかったということになる。 松井氏をかついだ自民党の重鎮だった伊吹文明氏は出陣式でこう語っていた。 「相乗りでもなんでもない。市民が選んだ政策が一致した候補。相乗り批判する人こそ古い政治の体制を批判する人たち。東京の権力争いを持ち込もうとして推薦取り消した人たちは市民ではなく東京の自分たちの立場を優先している人たちだ。政党や大阪の知事と協調するのではなく京都の人の手でわれわれの市長を作ろう」 立憲民主党の泉代表は選挙投開票日の昼間に行った党大会で「裏金はけしからん!」と気勢をあげた。一方でその前日の選挙戦最終日、京都の街頭で泉代表は政治とカネの問題には触れなかったという。 接戦をしのぎ切ってほっと胸をなでおろしたかもしれない。しかし、何を守りたかったのか?本来守るべきは京都市民の暮らしであり街の未来のはずだ。守りの姿勢から京都を変えることができるのか、松井新市長の手腕を注視したい。 (MBS東京報道部記者兼解説委員 大八木友之)