子どもが「ヤバい」を連発…日本人の読解力低下が止まらない理由
● 誤解や ミスコミュニケーションが増えると そもそも、自己紹介をするにしても日常会話をするにしても、自分の考えや立場をはっきり伝えることは重視されておらず、余計な社交辞令を入れたりします。 何かの返事をする際も、イエスかノーかは曖昧です。 「いや~、最近、仕事がとても忙しくて、やりたい気持ちはものすごくあるんですけど、でもやっぱり忙しくて……」 これは日本社会の一般常識で考えれば、「きっぱりダメとは言っていないけど、これだけ忙しいと言っているんだから受けられないということか」と察しなければいけないということです。 まずは目の前の相手に嫌な思いをさせないこと、相手に嫌われないことが軋あつ轢れきのない日本型のコミュニケーションなのです。伝える側の本音は明確にはしないけれども、受け取る側が読解力を使って真意を察しなければいけないという共通認識があったわ けです。 ところが、人々の読解力が低下してくると、この共通認識がうまく伝わらなくなります。 先ほどの例も、ひょっとしたら受け取る側が「ああ、この人はものすごく参加したいんだ。それなのに今はたまたま忙しいということか」「それなら、もう少し後にしたら参加してくれるかな」という理解をするかもしれません。 その結果、誤解やミスコミュニケーションが増えてしまいます。 返事をする側としてはすでに断ったつもりでいたのに、その後も誘いの連絡が来て、その都度、曖昧に答え……というやり取りが続けば、お互いに疲弊し混乱し、最終的には関係性が悪化してしまう可能性もあります。 言うまでもないことですが、私たちは学校でも、仕事でも、普段の生活においても、会話やメッセージによる連絡、さらに企画書や提案書、依頼書、発注書、契約書といった文書のやり取りなど常に言語を使って生活しています。 それらを理解する力がなければ、意図や意味が正しく伝わらずに誤解や混乱が生じて日常生活が難しくなってしまいます。