富士山山開きまで1か月…遭難しても生きて下山するための5つのルール
もしもワニに襲われたら…そんなめったにないことにわざわざ備えておく必要なんかない!多くの人はそう考えているかもしれない。だが、「まさか」が起こってしまうのが現実というものだ。世の中では運よりも、「知恵」の方がサバイバルには有効だったりする。 遭難者数等の推移(令和4年:警察庁HPより) 本連載では、クマやナイフを振り回す悪漢に襲われながら逃げ切るなど、誰もしたくない経験を持つ2人の作者が実体験も踏まえ、状況別に生き残る術をわかりやすく紹介。まさに「窮地から生き延びるためのノウハウ」を、万一の時に備え、共有する。 第3回のテーマは、「もしも山で遭難したら」。7月1日の富士山山開きまで1か月に迫った。自然と一体化し、山頂にたどり着くと、大きな達成感のある富士登山。一方で、例年、死者が出るなどその怖さもあなどれない。 なめてかかると、「まさか」の確立が急上昇する。そんな時、最悪の事態を避けるためにも、遭難時の正しい行動ノウハウを知っていれば、命拾いできる確率が上昇するだろう。(全4回) ※ この記事はジョシュア・ペイビン/デビット・ボーゲニクト(訳:梅澤乃奈)の書籍『もしもワニに襲われたら』(文響社)より一部抜粋・構成しています。
遭難時に生きて下山するための5つのルール
山で遭難した場合、最も多い死因が低体温症です。人間は、基本的に熱帯性の動物なのです。暗闇、孤独、先が 見えない不安などに直面しても冷静でいれば、無事に生還できる確率も高くなります。 生還するために重要なもののうち8割が、遭難者の行動です。1割がサバイバル 用品、そして残りの1割がサバイバル用品に対する知識 です。出かける際は、必ず誰かに行き先と日程を告げて おきましょう。 1. パニックに陥らない 誰かに行き先を話していれば、救援隊が捜索を始めているはずです(通常、遭難者が大人の場合は日中のみの捜索ですが、子供が1人で遭難している場合は24時間態制で捜索します)。 2. 避難場所を探し、濡れた服は脱いで体温を下げないこと 無意味な行動―――避難場所を自ら建てようとして重い丸太を運ぶなど――は、発汗を促して体温を下げてしまいます。建築に着手する前に、近くにある小屋を避難所として使用してください。 雪山の場合は、雪を洞窟のように掘って風から身を守ることもできます。听壕(戦場において、敵の攻撃から身を守るための満)のように掘れば、より高い効果を得られるうえ、労力も少なくて済みます。 溝を掘り、中に入ったら枝や葉で覆うだけです。 塹壕や洞窟は、なるべく山の中腹に作ってください。 深く、険しい峡谷には近づかないこと。冷気が溜まりやすく、峡谷の地面は山の中で最も温度が低い場所だからです。 穴や溝を掘って冷気から 身を守る。落ち葉や枝で 覆って体温を下げないようにすること。 3. 救援隊に救難信号を送る 救難信号を出すのに最も適した時間帯は、日が出ている間です。信号装置を使うか、焚き火で三角形を作るのが いいでしょう。高所から合図を送ると、救援隊から見やすくなるので効果的です。 大きな音を出せば、遠くの救援隊にまで届く可能性があります。狼煙を三箇所で焚き、 ブランケットを地面に置いておきましょう。スペースプブランケットの場合は、アルミの面が上になるように置く こと。 4. 遠くまで移動しない 救援隊は遭難者の痕跡を辿ってきますので、遠く離れて しまうと捜索が困難になります。別の方向へ進んでしまうと、見つけてもらえない場合もあります。運転手がその場を離れてしまったため、無人の車だけが発見されるケースが非常に多いです。 5. 凍傷になっても、危機を脱出するまでは温めないこと 足先が凍傷になっても歩行は可能です。しかし温めてしまうと痛みを感じるようになるため、歩行が困難になります。救助されるまでは、凍傷になった部位を濡らさないように保護しておきましょう。