King Gnu、初の5大ドームツアー完走 ファイナル札幌公演のオフィシャルレポート到着
超満員、札幌ドームの広々とした会場。今か今かと沸き立つ開演前から興奮状態のオーディエンスたち。ステージにはメタリックに輝く山のごとく散乱したアーティスティックに非対称のLEDモニター。両端には超巨大なLEDスクリーンが設置。客電が落ち、まずスクリーンに浮かび上がったのは注意書きとしてのWARNINGインフォメーションだった。 【全ての写真】King Gnu初の5大ドームツアーより東京ドーム&札幌ドーム公演の模様(全39枚) “われわれはぶっ飛んだ演奏をします!”という開会宣言。 冒頭、オープニング映像から、一気に「SPECIALZ」がスタート。TVアニメ『呪術廻戦』「渋谷事変」オープニングテーマとしても知られる世界的なヒットチューンだ。非日常のロック空間へと温度が急激に変化していく会場。勢いそのままに「一途」でギアをフルスロットルへ。デジタルロックにニューアレンジが施された「千両役者」、炎がステージに無数に瞬き、重厚なビートが繰り出されていく。さらに、怒涛の凄まじい展開が爆裂する「STARDOM」へと駆け抜けていく。 映像転換後、柔らかな雰囲気の「MIRROR」から、ヒット曲「CHAMELEON」を披露。鬼才常田大希によるボコーダーによるラップが、妖しくも神々しい絶妙なる雰囲気を醸し出す。ボーカリスト井口理のハイトーンなエンジェルボイスと溶け合うドープな世界観だ。 それにしてもKing Gnuはドームという巨大なライブ空間が似合う。そして、ビートはそのままにアブストラクトな「DARE??」から「Vivid Red」へとつないでいく。ここで誰もが知る国民的ヒットチューン「白日」で繰り広げられていくのは、淡いモノクロームなシルエットの世界観。常田によるギターソロのフレーズが今日は特にエモーショナルだ。 井口が優しい表情でオーディエンスへ向けて「King Gnu、5大ドームツアー、ファイナルへようこそ!! 楽しんでる? 配信も合わせて計12万人ぐらいの人が観ているんじゃないですか? 今日は、祭りといこうか。この後もよろしくお願いします!」と、意気揚々に語り出した。 ストリングスのメロディーそのままに「硝子窓」へと移行。メロウなるままにとつとつと歌い上げる井口。ボコーダーを通した常田のコーラスが耳に深く残る。ここで、最初期のナンバー「泡」を披露。アブストラクトなサウンドがドープに響き渡り、レーザーが深海を漂うように淡く揺れていく。 常田による歌声によって引っ張られ、メロウにたゆたう「2 Μ Ο Я Ο」。“この時がずっと続きますように”、と歌い上げていく井口と常田。まさにそう思う瞬間だ。後半だんだんと、ドラマー勢喜遊によるビートが高まり、そのまま「Vinyl」へ突入。クリエイティブ集団PERIMETRON製作によるミュージックビデオのインパクトが強い、King Gnu飛躍のきっかけとなった2017年のナンバーだ。新井和輝によるベースが踊るようにブンブン唸っている様が気持ち良い。さらに常田のギターソロが吠えまくる。途中、一拍置いて、井口によるキーボードフレーズをきっかけに、大きな盛り上がりへと突入していく様は鳥肌ものだった。 火花がステージより上がりまくり、常田による低音ヴォイスからはじまった「W●KAHOLIC」。続いて、「):阿修羅:(」によるアッパービートで盛り上がっていく展開へ。この日最高潮ダンサブルチューンの登場だ。ベーシスト新井が、ビートに溶け合い笑顔で揺蕩うようにキーボードを奏でる様が微笑ましい。 “この人生たった一度きり” 歌い出しの、常田によるフレーズが胸に響く。幾千ものレーザーと炎が飛び交う会場。中盤、常田によるギターソロ以降の、生演奏でのエモーショナルな展開がスペシャルな時間だった。 煌びやかな「δ」を経て、メロウかつポップな展開で繰り広げられていくシアトリカルな「逆夢」へ。ここでも常田のギターが吠える。そして、井口の歌声に優しく添い遂げる常田のコーラス。ラスト、会場中に井口の「センキュー!」の声が響き渡った。 泣きメロチューン「IKAROS」では、放射される照明の美しさと呼応するかのような、まるで天界からの視点のように魂が蕩けていく極上の展開へ。ここで、“WAKE UP”のサンプリング・ボイスがリフレインし、常田が拡声器を片手に会場中を煽りまくる「Slumberland」。勢いそのままに、井口の「まだまだ行こうぜ!」というメッセージとともにポップロック「Sorrows」へと傾れ込んでいく。新井が、ステージ前方で座りながら弾きまくる姿が印象的だった。 途中、常田が「札幌!!」とシャウトし、大いに盛り上がる会場。 ここで、トドメを刺すがごとくハイテンション・ナンバー「Flash!!!」をドロップ。照明も音圧もこれまで耳にしたことがないほどの最高潮の盛り上がりへ。幾多の壁を突き破り乗り越え、どこまでも大きくなっていくKing Gnu。それにしても、会場にはいったい幾つのレーザーを用意してあるのだろう? これまで体験したことのない、とんでもない光景だ。