King Gnu、初の5大ドームツアー完走 ファイナル札幌公演のオフィシャルレポート到着
ここでMC、「いい感じだよね?」と井口が言えば、阿吽の呼吸で「いい感じです」と答える元同居人の新井。井口が、「札幌久しぶりだよね? たぶん2,3年ぶり。これはいい千秋楽の予感がしてきたぞ~。えっとですね。もう後半なんです。もうね、せっかくなんで今日は最終日なんで。この後、アジアツアーもやりますけど、来れないでしょ?」 会場に沸き起こる笑い。 「今日はみなさん、ほんとにラッキーだからね。楽しもうよ。なかなかアルバム出さないバンドだから。今日は特別に全部出し切って帰りましょう。よかったら歌ってくださいね!!」と、軽快にはじまったポップチューン「BOY」。会場の巨大LEDスクリーンには「BOY」を演奏する、扮装もそっくりなKing Gnuキッズの演奏がシンクロする。優しく高揚していくキャッチーなサウンドによって至福な空気感が会場中に拡散されていく。中盤、常田によるポジティビティーに富んだギターソロも素晴らしかった。終盤、キッズ井口(!?)が、左手を掲げラストを迎えていく。好感度大、ナイスな映像とのシンクロ演出だった。 「大合唱しよう!」と井口による声かけではじまった「雨燦々」。さらに拡がっていく絵も言われぬ高揚感。中盤、ドラムとベースを赤裸々に魅せていくロッキンな展開がたまらない。会場中のオーディエンスが手を左右に振る姿。 続いて、神々しいストリングスによって「仝」が響き渡る会場。ステージに聳える山のようなミラーの瞬きとともに「三文小説」がはじまった。サビパートで、天井から真っ直ぐ光のタワーのようにライトが降り注いだシーンは、まさに鳥肌ものだった。そして、赤い照明が放射され、常田によるピアノフレーズが響き渡る。神々しい井口によるハイトーンのボーカリゼーションの美しさに立ち尽くすオーディエンスたち。 気がつけば、ステージの左右に設置された巨大LEDにはスタッフクレジットが流れていた……。 そう、あっという間のライブ本編だった。いや、濃密すぎて時間の感覚が狂ってしまったのかもしれない。濃厚だけど、本当にあっという間な感覚だったのだ。ステージに目を向けると、手を振りながら去っていくメンバー。まさしく大団円。LEDスクリーンにはツアータイトルのロゴが映し出されていた。 鳴り止まない拍手と歓声。誰ともなく、客席ではスマホライトが瞬く間にたくさん照らされ、会場中に数万のあかりが灯されていく美しきワンシーン。 メンバーが再びステージにあらわれた。 井口が、「アンコールありがとう! ずっと舞台袖で聴こえていたよ。5大ドーム、たぶん!? 完走できるよね。力貸してくれますよね? あれだよ、俺たちが5大ドームするってソニーの人たちも誰も信じてなかったからね。たぶん、信じてくれたのはみんなだけだったよ。一緒に歌いましょう!」とメッセージ。 常田がギターをつま弾きながら、アカペラ風に歌いはじめる井口。数万人のドーム会場だが、一対一の距離感という気持ちの近さを築き上げた信頼できる関係性、その群れは大きくなり、手拍子でビートを刻みはじめたオーディエンスたち。みんなの心はひとつ。そして、メンバーは青いライティングがクールなKing Gnu初のCDシングルとなった「Prayer X」をプレイしていく。 続いて、勢喜による「ワン・ツー、ワン・ツー・スリー・フォー!」の大声カウントからはじまったパンキッシュなロックチューン「Teenager Forever」。ステージ上で微笑み合うメンバーの笑顔が嬉しい瞬間だ。 「最後に1曲、“この時代に飛び乗っていこうぜ!”ってことで。最後に1曲楽しもうぜ!」と、解き放たれたラストナンバーは重厚なビートでロックする「飛行艇」。でかい会場に似合う楽曲をと、生み出されたライブチューンだ。ステージではこれでもかと炎が噴射されていく。この瞬間がずっと続いてほしい、誰もが心の奥底から願ったことだろう。しかしながら、エンディングを迎えていくステージ。 タオル片手に常田が「ありがとー!」と挨拶。ステージ前方に4人が並んで頭を深々と下げ手を取り合いながらライブは終了。常田のギターがステージに残され、フィードバックノイズが余韻としてサスティーン……。会場中に響き渡っていた。 国内公演をすべて完走した、バンド史上最速での実現となった5大ドームツアー。誰も見たたことがない凄まじい景色をKing Gnuは魅せてくれた。そして、King Gnuは4月6日よりアジア諸国4都市7公演を巡る未知の体験となる初のアジアツアーへと踏み込んでいく。そう、ヌーの巨大な群れはついに日本を飛び出していく。新たなシンパを広げ続け、セレモニーという名の宴はまだまだ終わらないのだ。 Text:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ) <公演情報> King Gnu Dome Tour『THE GREATEST UNKNOWN』 3月23日(土) 札幌・札幌ドーム セットリスト M1. SPECIALZ M2. 一途 M3. 千両役者 M4. STARDOM M5. MIRROR M6. CHAMELEON M7. DARE?? M8. Vivid Red M9. 白日 M10. 硝子窓 M11. 泡 M12. 2 Μ Ο Я Ο M13. Vinyl M14. W●RKAHOLIC M15. ):阿修羅:( M16. δ M17. 逆夢 M18. IKAROS M19. Slumberland M20. Sorrows M21. Flash!!! M22. BOY M23. SUNNY SIDE UP M24. 雨燦々 M25. 仝 M26. 三文小説 M27. ЯOЯЯIM EN1. It’s a small world EN2. Prayer X EN3. Teenager Forever EN4. 飛行艇