米大統領にトランプ氏確実 軍事競争過熱?拉致問題の解決は?女性蔑視? 報道受け、鹿児島県民は何思う…
「米国第一主義」を掲げる共和党のドナルド・トランプ氏が6日、米大統領選の勝利を確実にした。日米共同演習が相次ぐ鹿児島県内の離島住民は「平和に導くリーダーシップの発揮を」と要望、拉致被害者家族は問題の進展を望んだ。米国初の女性大統領誕生を期待していた経営者からは落胆の声が上がった。 【写真】〈資料写真〉日米共同統合演習=10月27日午前7時半、徳之島町花徳
日米共同演習が1日まであった徳之島で平和教育を続ける幸多勝弘さん(73)=徳之島町=は「台湾有事の危機感ばかり駆り立てると軍事競争が過熱する」と不安を口にする。トランプ氏の米国第一主義の姿勢に危うさを感じながらも、「超大国の米国だからこそ対話を通じて世界を平和に導いてほしい」と望んだ。 奄美ブロック護憲平和フォーラムの城村典文事務局長(72)=奄美市=は、中国との対立を緩和させ、北朝鮮の核開発問題を解決できれば、南西諸島の防衛力増強は不要になると指摘。「奄美や沖縄の住民が安心して暮らせるようになればいい」と語った。 トランプ氏は中東の戦争を「終わらせる」と発言している。パレスチナに3度滞在した同市の医師堀部碧さん(38)は「イスラエル支援を続ける米国の体質が変わらない限り、誰がトップになっても住民の命が失われる」と懸念した。 女性蔑視や人種差別的な言動を不安視する声も。米国に21年暮らした鹿児島経済同友会ダイバーシティ委員長の門田晶子さん(56)=鹿児島市=は「トランプ氏は国民の人権を守れるだろうか。気候変動より経済政策を重視すると公言しており、多様性や持続可能な社会から遠のく印象。今回の結果は米国の分断を象徴している」と危惧した。
民主党のカマラ・ハリス氏は敗れ、米国初の女性大統領誕生は持ち越しに。 人材派遣会社・清友(鹿児島市)の宮之原明子社長(50)は「日本の男女格差はまだ根強い。日本は米国の影響を受けやすいだけに、女性大統領の誕生は女性を勇気づけると思っていたのだが」と残念がった。 1978(昭和53)年に北朝鮮に拉致された市川修一さん=当時(23)=の兄健一さん(79)=鹿屋市=は「一日も早く米朝のトップで拉致問題を話し合って」と2019年以来となる再会談を期待する。一方、他国との協調に冷淡な態度へ不安も覚える。「国際情勢が悪化すると拉致も解決しない。他国とも足並みをそろえてほしい」
南日本新聞 | 鹿児島
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