ハーレー新型「ロードグライド」に感じる 高い完成度と『お得感』
また、エンジンにしても昨年モデルの114キュービックインチ(1868cc)から117キュービックインチ(1923cc)に排気量が高められており、かなりのトルクとパワーを感じる味つけに変更。ストローク自体は114.3mmと昨年モデルと同等なのですが、ボアを従来の102mmから103.5mmに拡大することでパワーとスムースさを両立するエンジンに仕上げられています。アクセルを捻った時に感じる加速はかなりのものです。 基本、多くの空冷系ハーレーはボアよりもストロークの方が長い『ロングストローク』タイプのエンジンとなっており、それが独特の鼓動感やトルク感を生み出しているのですが、そのボアとストロークの比率の数値が少なくなればなるほど、エンジンがスムースになるのも内燃機の法則であり、ボアとストロークが同等の『スクエア』タイプは、よりスムースな印象をうけるのが正直なところです。 同じように2023モデルよりも2024モデルのロードグライドの方が、淀みのないエンジンの回転の上昇を感じるのですが、おそらくはこれが現在のハーレーの目指す味つけであるとも推測できます。
ライバルはやはり「BMW Motorrad」
近年のハーレーダビッドソンの動向を見ると、2021年に登場したアドベンチャーモデル「パンアメリカ」や昨年に発売された「X350」「X500」からも分かるとおり、アメリカン・クルーザーだけではなく、ユーザーに様々な選択肢を与える総合バイクメーカー的な方向にシフトしつつあるように感じます。そしてその先に見据えるライバルとしてあるのがBMW Motorradなのではないでしょうか。
奇しくもBMW Motorradはハーレーのソフテイル的な機構のリアまわりを備えた「R18」や、それをバガースタイルとした「R18B」、「R18 Transcontinental」などをラインナップしていますが、きっと狙うのはハーレーの市場であり、ファン層です。 そうした目線で2024年の新型ロードグライドを見ると、「バイク」としての完成度は多くのユーザーから高い評価を受けるBMW Motorradと比較しても遜色ないレベルです。 ちなみに新型ロードグライドはCVOモデルの562万9800円と比較すると369万3800円とリーズナブルな設定になっており、新デザインでも2023年モデルからお値段据え置きです。 もちろん、CVOモデルとレギュラーモデルでは排気量(CVOは121キュービックインチ/1977cc)やフロントフォーク、リアサスペンション、ブレーキ、ホイールやスピーカー、ペイントワークなど装備に違いがあり、それ相応の価格差となるのは仕方ないのですが、それでもLEDランプを備えたニューフェアリングとタッチパネル・スクリーンを備える新型ロードグライドは、かなりのお得感があります。 バイクとしての完成度を考えても多くのライダーにオススメできる1台です。
渡辺まこと(チョッパージャーナル編集長)