「70歳で年収700万円以上の人が5%いる」という「定年後の実態」
多くの人が知らない「定年後の仕事」
〈総務省「国勢調査」によれば、2020年における70歳男性の就業率は45.7%とすでに半数近くの70歳男性は働き続けるという選択を行っている。女性の高年齢者に関しても、ここ10年ほどで労働参加が急拡大している〉 【写真】年収200万円、持ち家が正解…意外と知らない「定年後の真実」 〈組織で働いている人であれば、仮に自身が30代だったとして、自分が10年後にどういう働き方をしているかは組織内の40代を見れば想像がつく。40代の人も同様に50代を見ればわかるだろう。 しかし、定年後の働き方はなんともよくわからないのである。多くの人が思い描く定年後の働き方はおそらく再雇用を始めとする継続雇用だと考えられるが、生涯現役時代である現代においては、70歳になっても、またそれ以降に働くことも十分に考えられる〉 定年後に働く人が急増している一方で、その実態を把握している人は少ない。話題の新刊『ほんとうの定年後 「小さな仕事」が日本社会を救う』では、多数の統計データと事例から「定年後の仕事」の知られざる実態を明らかにしている。
定年後の年収はどうなる?
たとえば、定年後の収入について、『ほんとうの定年後』では、〈60代前半では平均収入は357万円で、上位25%所得は450万円、収入の中央値は280万円となる。60代後半に目を移すと平均額は256万円まで下がり、上位25%所得は300万円、中央値が180万円まで下がる。定年後の就業者の収入の実態を探っていくと、300万円以下の収入の人が大半であることがわかる〉と書かれている。 60代では年収200万円台、70代では年収100万円台が一般的になる。多くの年収を稼ぐ人も少数だが存在するものの、現実としては当たり前の仕事の実態ではない。 〈多くの人が高齢になってもスキルアップを続けて社会に貢献することは、社会的に好ましい。実際に70歳時点で700万円以上の年収を稼ぐ人は就業者のなかで5.2%と一定数存在している。世の中にあふれている成功体験をみるまでもなく、年齢にかかわらず挑戦を続け、大きな成功を手にする人が存在することは疑いのない事実である。 しかし、現実の収入分布をみると、そういった働き方を続ける人は少数派だとわかる。今後ますます人々の就業期間の延長は進むであろうが、過去からの推移をみても、定年後に高い給与を得る人が急速に増加していくことはこれからも考えにくい。定年後高収入を実現している人は現実的な人数としてはそう多くないのである〉(『ほんとうの定年後』より) そもそも、定年後に働かなくていいように現役世代のうちに働き十分な貯蓄をするのか、定年後ゆるやかに働き続けていくのか。いまのうちに考えて、しっかりと準備をしておきたいところだ。 つづく「年収100万円、70~80代に幸せな人と不幸な人の『決定的な違い』」では、年収が激減する70代以降をどう生きればいいのか、データを確認しながら徹底的に読み解く!
現代新書編集部