政府が「中堅企業」を新たに定義 どんな企業が該当するの? 政府が打ち出す支援パッケージは? 専門家が解説
◆190の支援パッケージの内容は?
吉田:今回まとめられた支援パッケージの内容はどうなっていますか? 塚越:190個のさまざまな包括的パッケージがあります。大きく分けると4つあります。 1つ目が、投資に関するもの。工場整備といった大規模な投資に対する最大50億円の補助です。地域課題の解決やデジタル化への支援もあります。 2つ目が、雇用に関するもの。賃上げを4%以上おこなった場合、大企業を上回る税制優遇(※大企業は7%以上が税制優遇の対象)だったり、非正規雇用の労働者を正規雇用にする場合の助成など、リスキリングや地域における人材育成の支援などもあったりします。 3つ目は、グローバルやインバウンドといった外需獲得に関するもの。海外輸出に関わる設備への支援などもあります。 4つ目が経営基盤の強化整備に関するもの。新事業展開に関する支援などです。非常に多くの支援策があります。
◆「中堅企業」への支援は地域経済の活性化につながるか?
ユージ:今回の中堅企業の支援、経済の活性化につながると思いますか? 塚越:昨今の賃上げのニュースは基本的に大企業のものが多く、日本全体の実質賃金は下がっているという課題があります。また大企業は大きいからこそ、俊敏な動きが難しいところもあります。 そういう意味では、「中堅企業」が果たす役割に着目して支援するのは良いかなと思います。特定の業種に特化して数百億の売上があって、場合によっては海外シェアも持っています。地域に根差した企業も多いので、そうした企業が支援によって伸びれば、結果的に地域の雇用にも貢献できます。 一方で、中小企業への支援も引き続き必要です。そして支援は限りある財源でおこなうので、今回のパッケージでどのくらい効果があったかをきちんと測定して、大中小の企業支援のあり方をみていく必要があります。 今回は「中堅企業」を定義することで、私たちにとっても分類が分かりやすくなりました。そして同時に政策としても、支援に対する効果なども検証していき、より見極める必要があります。こうしたことを私たちにとっても分かりやすくするために、分類分けをしたとも考えられますよね。 ユージ:塚越さんの言う通りで、今まで「大企業」と「中小企業」というざっくりした分け方だったので、両者に開きを感じていました。間にもう1つ「中堅企業」が設けられるとのことですが、僕からすると従業員数300人以上、2,000人以下という分類でも、幅広いなと思います。今後は、もっと分類されていってもいいのかなと思いました。 (TOKYO FM「ONE MORNING」2024年3月21日(木)放送より)