「ソニーKADOKAWA連合」がアニメ業界にもたらす激震 買収実現すれば勢力図は一変か
■ソニーとの連携は「ダイナミックすぎて…」 そんな状況も、KADOKAWAを買収してしまえば一転する。 同社は小学館・集英社を擁する一ツ橋グループ、講談社率いる音羽グループと並ぶ、出版3大グループの一角だ。ライトノベルの有力レーベルや漫画出版機能を有し、2024年3月期のIP創出点数は5900に上る。質の面でも、ライトノベルから漫画、アニメとグループ内でメディアミックスを推し進めた「Re:ゼロから始める異世界生活」を筆頭に、「ダンジョン飯」、「時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん」など、有力IPをコンスタントに輩出してきた。
同時にアニプレックスや東宝などと並ぶ国内有数のアニメ企画・製作会社でもあり、直近では集英社原作の「【推しの子】」をヒットさせた。ただ、あるKADOKAWAのアニメ部門社員は「有力なKADOKAWA原作のアニメ化に際しては、(社外のアニメ企画・製作会社よりも)社内のアニメ部門に若干の優先権があり、KADOKAWAアニメ部門の強みとなっている」と明かす。 買収が実現すれば、KADOKAWAのアニメ部門と同様に、アニプレックスがKADOKAWAの有力原作を安定的に確保するというスキームもみえてくる。「ソニーと連携すれば、原作からアニメの世界配信までが完結してしまう。ダイナミックすぎて現実味がない」(前出のKADOKAWA社員)。
「6000億円規模というM&Aはわれわれにはできない。会社の首脳級も『ソニーにやられた』と頭を抱えているようだ」。あるアニメ会社の幹部がそう打ち明けるように、ソニーがKADOKAWAを傘下に収めれば、業界勢力図が大きく塗り替わる可能性も出てくる。 直近、アニメ業界で急速に総合力を高めてきた“台風の目”は、東宝だった。 国内売上高トップの映画館「TOHOシネマズ」を有し、企画・製作を担ったアニメの劇場版を精力的に配給できる強みを武器に、「僕のヒーローアカデミア」や「ハイキュー!!」、「呪術廻戦」、「SPY×FAMILY」など、アニプレックスをしのぐ勢いでジャンプ系IPをアニメ化。いずれも原作に見合う大ヒットとなった。