阪神 FA権取得の大山に“鳥谷級の条件提示”も 慰留へ粟井球団社長「行けるところまで行く」
プロ野球のフリーエージェント(FA)有資格者が権利行使の手続きをできる期間が5日に始まった。阪神の粟井一夫球団社長(60)は兵庫県西宮市で取材対応。今季FA権を取得した大山、坂本、糸原、原口の4選手の引き留めへ「行けるところまで行くつもりです」と最大限の誠意を見せることを強調した。去就が注目される大山悠輔内野手(29)に対しては過去に5年契約を結んだ“鳥谷級”の条件提示も視野に入れ、慰留に努める覚悟だ。 今季新たに大山、坂本、糸原、原口が国内FA権を取得した。大量4選手が権利を保有。球団事務所で取材対応した粟井球団社長は、残留への強いメッセージを送った。 「(マネーゲームを)賛成しないと言いながら、ある程度は頑張らないと。ファンの方も見ているので。度を越すとアレだけど、行けるところまで行くつもりです」 財布が許す限り出すという球団トップの大号令は、ズバリ、大山に向けた発言だと受け止めていい。有資格者6選手のうち、仮にFA権を行使した場合にマネーゲームに発展する可能性があるのは、今季年俸2億8000万円(推定)の主砲のみと見るのが自然だからだ。既にライバル球団の巨人が獲得に興味を示す。流出の懸念が高まっている。 球団は金額だけでなく、年数でも誠意を示す構えがある。球団関係者は「引き留めに成功した場合、5年契約になる可能性がある」と方向性を示した。実現すれば、01年オフに日本ハムからFAで獲得した片岡篤史、14年オフに5年契約を結んだ鳥谷敬と並ぶ球団最長の契約年数になる。 全力慰留の背景にあるのは、打撃力と安定した守備力だけでなく、模範的なプレー姿勢への評価。昨年の契約更改でも複数年契約を打診した。そのときは結果的に断られたものの、残ってほしいというスタンスは不変だ。 粟井球団社長は「万が一(FAで選手が)抜けるようなことがあれば、(助っ人などの獲得の)緊急度が高まるのは事実。できるだけ残ってほしい」と語った。大山の動向によって編成が左右されることを暗に示した。主砲の引き留めこそ、今オフの最大の補強になりそうだ。 ◯…FA権の行使が注目される大山はこの日、甲子園球場に隣接する球団施設を訪れた。粟井球団社長も施設内にいたため、条件提示など球団との話し合いを行った可能性が高い。取材には対応しなかった大山だが、今年4月に権利を取得した際には「金本監督、矢野監督、岡田監督に使っていただいたおかげで権利を取得することができた。たくさんの方にまずは感謝したい」と語っており、現在も熟考を重ねている模様。また同じくFA権を保有する原口、坂本、糸原もこの日は権利行使に関しての態度を示すことはなかった。