黒江透修さん、巨人とは「強いこと。強くなること。それだけだよ。勝たないとダメなんだ」古巣へ強烈エール
巨人球団創設90周年記念の連続インタビュー「G九十年かく語りき」の第4回は、V9時代に遊撃のレギュラーを張り、鉄壁の内野陣を形成した黒江透修さん(85)の「喜怒哀楽」だ。巨人の緻密(ちみつ)なチームプレーを支え、勝負強い打撃も光った名脇役。指導者としても数々のチームを育て上げた“究極のナンバー2”が、巨人時代の記憶をたどった。(取材・構成=湯浅佳典、太田倫) 2年連続でBクラスに甘んじた巨人の現状を、黒江さんもまた、強く憂いていた。「情けないね…。僕は指導者が悪いと思ってるんだ」と、眉間に深いしわを寄せた。 なればこそ、阿部監督への期待も深くなるというもの。「彼も選手時代は苦労して、一流になった。その分、いい指導者になれると思うし、なってほしい。今は、努力も苦労も足りない若い子がいっぱいいる。監督が苦労話をたくさんしてあげたら、勉強になるし、喜ぶと思う。きっとやりがいがあるよ」。選手時代の体験を、積極的に還元していく必要性を説いた。 〇…黒江さんにとっての巨人とは?と聞いた。「強いこと。強くなること。それだけだよ」と、極めてシンプルな答え。強さの象徴こそが巨人軍なのだという、強烈なプライドを感じさせた。V9の巨人の伝統を引き継ぎ、他球団にもその財産を還元してきたという思いがある。「今は伝統がなくなってきている気がする。勝つために打ち、勝つために投げ、勝つために守る。全てに通じる。勝たないとダメなんだ」と、言葉に力がこもった。 ◆黒江 透修(くろえ・ゆきのぶ)1938年12月12日、鹿児島・姶良町(現姶良市)生まれ。85歳。鹿児島高から杵島炭鉱、日炭高松、立正佼成会を経て64年に巨人に入団。68年にはベストナインにも輝いた。74年に現役を引退した後は、巨人、中日、西武、ダイエーなどでコーチや2軍監督を歴任。現役時代の通算成績は1135試合に出場して3478打数923安打、57本塁打、371打点、打率2割6分5厘。右投右打。
報知新聞社