前政権支持者の警官隊襲撃や宗派対立…シリア各地で衝突続発 暫定政府が夜間外出禁止令
【カイロ=佐藤貴生】シリア西部タルトスで、崩壊したアサド前政権を支持する武装集団が暫定政府の警官隊を襲撃し、14人が死亡して10人が負傷した。ロイター通信が26日に伝えた。中部ホムスでも宗派間対立の表面化に伴い暫定政府が夜間外出禁止令を出すなど、同国各地で衝突などが相次いでいる。 タルトスでは警官隊がアサド前政権の幹部を逮捕しようとしたが、残存勢力の返り討ちに遭ったとみられる。この幹部は拷問や処刑が行われているとされた首都ダマスカス郊外のサイドナヤ刑務所と関係があったとの見方もある。 一方、ホムスではアサド前大統領の出身母体であるイスラム教シーア派の一派、アラウィ派の信徒らが抗議デモを行った。北部アレッポにある同派の施設が何者かに襲撃される動画が出回ったのがきっかけで、夜間外出禁止令は宗派対立の激化を避けるため発令されたもようだ。 アラウィ派は少数派で、信徒はアサド政権崩壊により、他宗派から攻撃されることへの警戒を強めている。暫定政府は、動画がアサド政権崩壊前の11月に撮影されたもので、宗派対立をあおるために何者かが拡散したと主張。騒動の火消しを図った。