玄理が村上春樹に興奮…アニメ映画「めくらやなぎと眠る女」アフレコの舞台裏
本当にいた!腹から出た謎の声
6月15日。韓国からの帰国を数日前倒しにしたのには理由があった。早稲田大学で開かれる「初夏の文芸フェスティバル」に村上春樹さんが登壇するのだ。 【写真】玄理が髪を大胆にカット! このプログラム内で、村上春樹さんの短編小説が原作のアニメーション映画「めくらやなぎと眠る女」の英語版が上映され、村上さんと今作の監督ピエール・フォルデスさんのポストトークも展開されるという。私はキョウコ役の声で日本語版の制作に参加していた。 大正ロマンを感じさせる内装で、カトリック教会のような荘厳な雰囲気を漂わせる大隈記念講堂に降臨した、春樹。自分でも気づかないうちに「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」と腹から謎の声が出る。失礼を承知で言うが、心底「村上春樹って本当にいるんだ……!!!!」という気持ちだった。 「ノルウェイの森」が大好きで、演技学校に通う頃、直子の「肩の力を抜いたら楽になることくらい分かってる」から始まるモノローグを何回も練習したし、ノルウェイがストーリーにほぼ関係ない国だということは知っていながら、それでもどんな場所なのか知りたくて一人旅に出た。最北端の町で真っ白な野犬に襲われかけながらオーロラを見たのは、九死に一生過ぎて良い思い出である。 今の時代を生きる多くの人にとってそうだと思うが、村上春樹の作品は常に隣に、ある時は自分の深く深いところにいた。 エッセイを読めば、自分とまるで違うライフスタイルに感服したり、読み終わった後はミントのような清涼感があって、自分が濾過された気持ちになったりした。だから、明言したことはなかったけど、今までも数少ない、村上春樹さんの原作の作品に関わることは、私の夢の一つだった。 イベントでは、映画を2回観てくれたこと、元々アニメは好きじゃなかったこと、とうの昔に書いた原作だったので、どこまでが自分の書いたものでどこからがピエールのオリジナルなのか記憶が曖昧だった分、楽しんでくれたことなどを訥々と語ってくれた。 ポロシャツにジャケット、差し色の入ったスニーカーが可愛い。目に、心に、焼き付けておこうと思った。事務所の社長が隣の席だったけど、興奮し過ぎた私がなかなか騒々しかったと、後から苦笑いしながら教えてくれた。