つながった命のバトン…最後の2匹が引き取り先へ 八代市で小型犬の多頭飼育崩壊 地元ボランティア支援1年【記者ノート】
八代市で昨年5月、60匹を超える小型犬が大量繁殖する「多頭飼育崩壊」が起きた。熊本県八代保健所と地元の動物愛護ボランティア「はちボラ」による支援開始から1年。犬舎に残っていた最後の2匹の「引き取り先が決まった」と、うれしい知らせが入った。 保健所は昨年8月までに、動物愛護法に基づく立ち入り調査でミニチュアダックスフント62匹を保護。はちボラも保健所とともに支援に動き、保護犬の世話に奔走した。県などによると、1軒から10匹以上の犬が保護される過去に例のないケース。保護した犬の飼育費や治療費は総額1千万円を超えたが、はちボラの会費や支援者からの寄付で賄ったという。 24日、譲渡される2匹を見送るため、保健所を訪ねた。しっぽを振りながら「ワンワン」ほえる姿を見ると、保護された当時とは比べものにならないほど元気を取り戻し、顔つきも毛並みも良くなったように思う。交流サイト(SNS)やブログなどを通して、新たな飼い主を募集してきた高野有美子代表(54)=同市=は「命のバトンをつなぐことができて本当に良かった」と安心する。
同市内では昨年以降、5匹を超える猟犬が繁殖した事例、20匹ほど中型犬が繁殖した事例もあったという。高野代表は「飼い主のモラル向上を訴えるだけでは改善につながらない。飼い主を資格制にするなど、具体的なルールを決めた方がいい」と訴える。 私もかつて、大切な「1匹」を家族として迎えていた経験があるだけに、2匹には新しい飼い主と幸せに暮らしてほしい。保健所を後にする2匹を見送りながら、そう願った。(上島諒)