観光列車「かんぱち・いちろく」完成までの軌跡 200日に密着
IFOO八幡秀樹社長「久大本線の今までの歴史や風土、文化、そういう事と列車が一体となって表現できる、五感で感じられる様な列車ができないかなと」 ベースとなる車両は、観光列車「いさぶろう・しんぺい」。2020年7月の豪雨で被災した肥薩線の復旧が見込めないため、インバウンド需要が高い博多~由布院・別府間の新たな観光列車として、投入されることになりました。 ■台風で傷んだ神社の御神木はカウンターに 数十回にも及ぶ会議の末に決まった車両デザイン。 その核となるのが、2号車のカウンターとして取り付けられる、樹齢250年という杉の一枚板です。 台風で傷み、やむなく切り倒された熊本県の神社の御神木からとったもので、長さは約8メートル、重さは230キロにもなります。 機械はいっさい使わず、人力で運び込まれ、傷をつけないよう細心の注意を払って取り付けられました。 IFOO鷹野敦さん「沿線の文化・魅力を体現する要素が、散りばめられていますので、車両全体と窓から見える風景を、同時に楽しんで頂けるとありがたいなと思います」 ■名前の由来は? ところで、「かんぱち・いちろく」という列車の名前は、どこからきているのでしょうか。 「かんぱち」は、大分県九重町に本社を置く八鹿酒造の3代目蔵元・麻生観八の名前から。 観八は、交通が不便だった郷土の発展を願い、当時の国鉄久大線の敷設に尽力しました。 麻生益直社長「この地域を開発する為には、まずは鉄道だと。いわゆる九州横断鉄道、久留米と大分を結ばなければ意味がない。という事で働きかけをして、スタートしたのが明治38年と聞いております」 その功績から、JR九州は列車名だけでなく、八鹿酒造の地元の恵良駅を「おもてなし駅」として停車駅にしています。 一方、「いちろく」は、所有していた土地を国鉄に無償で譲渡し、由布院の発展に大きく寄与した実業家、衛藤一六の名前から取られました。 由布院盆地を大きく曲がるルートとなったため、そのカーブは今も「一六曲がり」と呼ばれています。