“腕が上がらない”のは五十肩じゃなくて「腱板断裂」かも!? 原因・対処法を医師が解説!
知らぬ間に腱板断裂…症状・対処法を医師が解説
編集部: 腱板断裂になると、どのような症状が表れますか? 田中先生: 主な症状としては、「痛みが出る」「動かしにくいと感じる」「動かす範囲が狭くなる」などが挙げられます。医学的に診察すると「腱板断裂は動かしにくさや痛みの生じる運動方向が限られている一方で、四十肩・五十肩の場合はどの方向に動かしても症状が出る」などの違いはありますが、自覚症状としては四十肩・五十肩とほぼ同じなので、混同されがちです。また、特に中高年以降の腱板断裂では、症状がほとんどないケースも多くあります。 編集部: 四十肩・五十肩と混同されやすいのですね。 田中先生: はい。四十肩・五十肩は、軽症であれば時間の経過とともに症状が改善していくこともあります。しかし一方で、腱板断裂の状態によっては手術が検討されることもあるので、早期に発見し、必要な対応をすることが大事です。 編集部: 例えば、どのような対処法があるのですか? 田中先生: 薬物療法で症状を和らげたり、リハビリテーションで運動療法や肩関節に負担のかからないような生活指導をしたりします。痛みに対しては、関節に注射をおこなうこともあります。それでも症状が治らない場合には、手術が検討されます。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 田中先生: 肩関節の動きが悪くなるのは、きちんとした原因があります。「もう歳だから」「そのうち良くなるかも」と様子を見るのではなく、早期に対処した方が早期の改善が見込めます。四十肩・五十肩も腱板断裂も、初期であればあるほど治療の選択肢が広がりますし、効果も出やすいので、痛みや動かしにくさは我慢せず、医療機関に相談してください。
編集部まとめ
四十肩・五十肩だと思っていた肩の痛みや腕の動きの制限が、じつは腱板断裂だったというケースも少なくありません。腱板断裂は放置すると症状が悪化し、治療が困難になることもあるため、早期の診断と治療が重要とのことでした。加えて、四十肩・五十肩であっても、早めの受診が推奨されます。肩の痛みが続いたり、腕が思うように動かないと感じたりしたら、早めに専門医を受診して適切な対応を受けることをおすすめします。 [この記事は、メディカルドック医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
監修医師:
田中 佑樹 先生(ゆうき整形外科クリニック) 関西医科大学卒業。その後、名古屋大学整形外科教室入局。愛知医療センター名古屋第一病院(旧・名古屋第一赤十字病院)整形外科や刈谷豊田総合病院などで整形外科医としての経験を積む。2024年7月より「ゆうき整形外科クリニック」代表医となる。日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定スポーツ医・認定リハビリ医。