最高出力350kWの次世代超急速充電器をe-Mobility Powerが2025年秋から設置開始
料金体系をはじめユーザーの声を反映した新システムも採用
とは言え、350kW出力のメリットを享受できるのは現状では高性能EVユーザーが中心。むしろ、今回の目玉と言えそうなのが、あらゆるEV/PHEVユーザーに向けた利便性の向上だ。 上述のケーブルマネジメントシステムの改良もその一例だが、ほかにもユーザーの声を反映したさまざまな改善策を盛り込むことが検討されている。なかでも目を惹くのが、「時間課金と従量課金の併用」、「放置車両対策」、「ダイナミックプライシング」、そして「プラグ&チャージを視野に入れたセンサーの搭載」である。 【時間課金と従量課金の併用】 一部を除き現在は時間課金が主流。つまり実際に充電した電気の量ではなく、分単位(最大30分)の料金で計算されている。この分単位の課金と、実際に充電した電気の料金(“kWh課金”)を併用することで、不公平感を低減することが検討されている。 【放置車両対策】 充電が終了しているのにドライバーが戻ってこない、というのはしばしば見かける光景だ。その抑止として「ペナルティ課金」機能を採用することを検討している。実現すれば、充電渋滞の解消、そして充電スポットでなんとなく感じる緊張感も緩和されるだろう。 【ダイナミックプライシング】 再生可能エネルギーを積極的に使用して、日/時間帯別料金の導入も視野に。太陽光発電を始め再エネの有効活用として、比較的需要が少ない平日の日中は安価に、逆に発電量の少ない夜間や需要の多い休日の昼間などは料金をやや高めに設定することも検討しているようだ。 【プラグ&チャージ】 プラグ&チャージはすでに欧米や中国で普及しているが、日本ではテスラのスーパーチャージャーにしか導入されていない。カードやスマホ画面を充電器にかざすことなくコネクタを接続するだけで認証/充電そして決済が終了するシステムだが、将来に備えてセンサーを実装する。実際にプラグ&チャージが使えるようになるには車両メーカーの協力も不可欠だが、まずは充電器側がそれに先んじたかたちだ。 ほかにも、OTA(オーバー・ジ・エア)機能の搭載によるセキュリティアップデート、ひと目で充電ステーションであることがわかる未来的なデザインやライティングを採用するなど、EVの本格普及に向けたさまざまな改良と機能が盛り込まれるようだ。 今秋にはプロトタイプを公開、2025年3月のCHAdeMO認証取得を経て同年秋には全国で納品/設置が始まるという。長らく停滞していた感もある日本の急速充電インフラだが、矢継ぎ早に施策を披露する最大手eMPの動向からはEV充電インフラの近未来が垣間見える。