『鬼滅の刃』孤高の剣士・時透無一郎はなぜ“笑顔”になれたのか アニメだけに描かれた「重要シーン」
【※ネタバレ注意】以下の内容には、アニメ、既刊のコミックスのネタバレが一部含まれます。 【画像】鬼殺隊「最強」と言われる“柱”はこの人 アニメ「柱稽古編」では、鬼殺隊のさまざまな「変化」が描かれている。第4話ではアニメオリジナル(アニオリ)シーンがたっぷりと含まれ、霞柱・時透無一郎の新たな一面を見ることができた。毒舌っぷりは健在だが、本心を語る場面も多くあった。さらに、剣士になってからは見ることができなかった“笑顔”がこぼれたシーンもあった。今までの人生では、「強さ」だけを追い求め、生き急ぎ、仲間たちとの交流や、少年らしい楽しみをすべて捨ててきた無一郎。そんな彼に訪れた「新たな変化」は、何をもたらすのか。アニメ4話のエピソードから考察する。 * * * ■霞柱・時透無一郎の「毒舌」 霞柱・時透無一郎は、鬼殺隊最年少の「柱」であり、孤高の天才剣士と名高い。その一方で、他人に対する言葉は辛辣で、「刀鍛冶の里編」では、刀鍛冶の少年・小鉄や後輩剣士の炭治郎にも、ひどい言葉を投げつけていた。 「刀鍛冶は戦えない 人の命を救えない 武器を作るしか 能がないから」 「くだらない話に つき合ってる暇 ないんだよね」(時透無一郎/12巻・第102話) 自分よりずいぶん年上の刀鍛冶たちのことも、「鉄穴森(かなもり)」「鋼鐵塚(はがねづか)」と呼び捨てにし、彼らへの感謝や敬意が不足していた。 ただ「強くなる」ことを目指し、自分自身に厳しすぎるがゆえに、いつも焦り、周囲を気遣えない。それがかつての無一郎の姿だった。
■少し優しくなった無一郎 柱稽古での無一郎の様子は、他の隊士たちに容赦のない(※実際には加減はしている)攻撃をしながら、「はい、死んだ」という言葉を何度もくり返していた。技を受けている一般剣士たちは、たまったものではない。 しかし、これらの無一郎のキツい言葉は、これまでに彼が発してきた「毒舌」とは少し異なるものだった。稽古中に隊士たちに、「感情のまま攻撃」してもダメなのだといさめ、「生き残る術を持つために」と訓練の目的を伝えている。原作にはない場面であるが、無一郎は揺れる本心も吐露していた。 「僕は君たちに 鬼に殺されて欲しくはない」(時透無一郎/「柱稽古編」第4話) 自分がたった14歳という若さであるにもかかわらず、無一郎は彼らに「できれば長生きしてほしい」と願うのだった。彼は、みずからの将来の姿として、「長生きしている自分」を想像したことはなかったはずだ。柱として、最も危険な場に身を置く鬼殺隊としてそれは変わらないだろう。だがそれでも、他者に対しては、無一郎は少しずつ「変化の兆し」を見せ始める。 ■刀鍛冶への思い 過去の無一郎は「柱として戦う自分/それ以外の人たち」という価値観の中にいた。そして、まだ成長途中の自分の肉体の未完成さに焦っていた。だからこそ、鍛錬の時間を奪う他者に異常なほど、いら立ちをみせていた。 しかし、刀鍛冶の里での戦闘以降、無一郎は、支えてくれている人たちの存在に心を向けるようになる。まず気づいたのは、刀鍛冶たちからの助力だった。「俺のために 刀を作ってくれて ありがとう鉄穴森さん」、そんな言葉が、無一郎の口から自然にこぼれるようになった。