【ライブレポート】Petit Brabanconがオーディエンスと共闘しライブハウスを沸騰させた「BURST CITY」ファイナル
Petit Brabanconのライブハウスツアー「Petit Brabancon Tour 2024『BURST CITY』」が、9月21日の愛知・DIAMOND HALL公演をもってファイナルを迎えた。 【写真】ライブ翌日、フロントマンの京は東京でみたらし団子をもぐもぐ 京(Vo / DIR EN GREY、sukekiyo)、yukihiro(Dr / L'Arc-en-Ciel、ACID ANDROID)、ミヤ(G / MUCC)、antz(G / Tokyo Shoegazer)、高松浩史(B / The Novembers)によって結成され、それぞれの活動と並行してコロナ禍においてもライブやリリースを重ねてきたPetit Brabancon。「BURST CITY」というタイトルを冠したツアーは、バンドの原点であるニューメタルを軸に“エクストリーム”を突き詰めた最新EP「Seven Garbage Born of Hatred」を引っさげ6都市のライブハウスで展開された。 ■ 混沌とした空間へと変容するDIAMOND HALL 年齢も性別も国境も超え、さまざまな観客がひしめき合う正方形のフロア。そこから立ち上る空気は高揚感と緊迫感を帯び、今にも爆ぜるようなムードを醸し出している。そんな雰囲気の中で「move」がスピーカーから流れ出すと、割れんばかりのクラップと怒号にも似たコールが会場に反響。最後に現れた京がマイクスタンドに手をかけると一瞬の静寂が訪れるも、「surely」が始まるや否やフロアの空気は着実に熱をはらんでいった。 抑制を効かせた京の艶かしい歌声と、yukihiroが刻む冷徹なビートが絡み合う「surely」を経て、ミヤがかき鳴らすソリッドなギターを合図に5人は「孤動」へとなだれ込んだ。躍動するメンバーを牽引するように、フロアに飛び込まんばかりの勢いでステージから身を乗り出してオーディエンスと対峙し、マイクを向けシンガロングを求める京。彼が「ツアーラストだぞ、わかってるか? お前らは何にも縛られてない。自由だ。ぶつけてこい!」と煽ると、ステージ前にはクラウドサーファーが発生し、フロアの後方ではヘッドバンギングの嵐が巻き起こり、DIAMOND HALL内は混沌とした空間へと変容した。「Seven Garbage Born of Hatred」リリース時のインタビューでantzは「“こっちが演奏して、それを観る”みたいなところから、もうちょっと双方で感じ取り合えるライブにしたいし、そういう化学反応を生み出せたら」と語っていたが、その思いが結実したかのような場がライブ序盤から構築されていた。 ■ 京が宣言「全部俺らが受け止めてやる」 ハードコア、ニューメタル、インダストリアルコア……激しい音楽ジャンルをこれでもかと煮詰めたPetit Brabanconのサウンドは、凶猛かつ攻撃的であると同時にキャッチーさを併せ持ち、さらには聴き手にカタルシスをもたらす痛快さを内包する。それらを百戦錬磨のライブアーティストである5人は、個々に磨き上げてきた歌、音色、テクニックを駆使し、怒涛のようにこの3年間で生み出した楽曲をフロアに叩き込んでいく。終始緊張感がライブを支配しているのかと言えば、そうではないのがPetit Brabanconの特徴。ライブ中盤では「OBEY」がヘビーかつダンサブルなムードを作り出し、後半戦に向けて清涼剤のようにわずかながらも息をつく暇を与えていた。 背筋を這うようなおぞましい重低音が轟いた「Isolated spiral」の余韻が残る中、京は「自由なんだよ、今この時だけは。縛られるな。全部吐き出してこい。全部俺らが受け止めてやる」とフロアに向かって宣言。その言葉をトリガーにオーディエンスはそれぞれの感情を解放し、ライブのクライマックスに向けてラストスパートをかけるPetit Brabanconのパフォーマンスを思い思いの形で堪能する流れに。特に「a humble border」ではクラウドサーファーやヘッドバンギングだけでなく、サークルモッシュが発生するほどの狂騒が生まれ、ライブの定番曲として機能していることをうかがわせた。 まさに“BURST=爆裂”するようなライブを締めくくったのは、Petit Brabancon史上最もアグレッシブで暴力的と謳われている「Vendetta」。京はためらいもなくフロアに切り込み、ミヤ、antz、高松の3人もそれに追随するように爆音を轟かせながら、ステージ上を暴れる。普段は機械のように正確なビートを刻むyukihiroも、この曲では感情のリミッターを外したかのようなドラミングを披露。乱打という表現がふさわしい豪快なプレイでメンバーとオーディエンスをアジテートしまくる。そして、耳をつんざくような轟音の中、京は最後に「忘れるな。ありがとう。じゃあな」と言い放ち、yukihiroと高松はその動きで観客の熱狂ぶりを称賛する。最後までステージに残ったミヤとantzの2人は、Petit Brabanconの音をステージに刻まんとエフェクターをいじり続けていた。 なお、Petit Brabanconは終演後、2025年3月に東名阪でライブシリーズ「CROSS COUNTER -01-」を開催することを告知。各会場で初日は対バンライブ、2日目にワンマンライブを行う。 ■ セットリスト □ Petit Brabancon「Petit Brabancon Tour 2024『BURST CITY』」2024年9月21日 DIAMOND HALL Opening. move 01. surely 02. 孤動 03. Miserable 04. Ruin of Existence 05. dub driving 06. BATMAN 07. 主張に手を伸ばす修羅 08. 渇き 09. OBEY 10. 眼光 11. Isolated spiral 12. Loser 13. a humble border 14. Mickey 15. Don't forget 16. 疑音 17. Vendetta ■ 公演情報 □ Petit Brabancon CROSS COUNTER -01- 2025年3月8日(土)愛知県 THE BOTTOM LINE ※対バン形式 2025年3月9日(日)愛知県 THE BOTTOM LINE 2025年3月20日(木・祝)大阪府 BIGCAT ※対バン形式 2025年3月21日(金)大阪府 BIGCAT 2025年3月26日(水)東京都 LIQUIDROOM ※対バン形式 2025年3月27日(木)東京都 LIQUIDROOM 撮影:尾形隆夫(尾形隆夫写真事務所) / Yukihide "JON..." Takimoto