大河ドラマ「べらぼう」では「写楽の謎」にどう迫る? 作家・谷津矢車さんが紹介する「写楽もの」名作10選
昨年発売した谷津矢車さんの『 蔦屋 』(文春文庫)が、「おすすめ文庫王国2025」〈時代小説〉部門ベストテンで、第1位に選ばれました! 【写真】この記事の写真を見る(2枚) これを機に、蔦屋重三郎の世界をもっと楽しんでいただくため、著者の谷津さんに蔦屋が仕掛けた浮世絵師・東洲斎写楽の謎にまつわる作品、いわゆる「写楽正体もの」の名作を紹介してもらいました。 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」でもきっと取り上げられるであろう「東洲斎写楽の正体」。これらの本を読みながらどんな風に描かれるか想像してみませんか? まずはこちらから! 谷津矢車さんが挑んだ「写楽もの」 『憧れ写楽』(文藝春秋) 老舗版元の主と喜多川歌麿がタッグを組んで「本物の写楽」の正体を追う。しかし蔦屋重三郎の妨害が……。なぜ蔦屋はそこまでして写楽を隠すのか? 新機軸で写楽の謎に挑む時代ミステリ。
精緻な謎解き。不朽の名作ミステリとして
(1)高橋克彦『写楽殺人事件』(講談社文庫) 写楽正体ものといえば、本作は外せません。大学の研究者が写楽の正体を追いつつ、現代で起こった殺人事件の謎を解いていく作りの歴史ミステリです。写楽の正体を巡る謎解きがとても精緻で説得力があり、歴史ファンが読んでも楽しめる作品です。 (2)泡坂妻夫『写楽百面相』(創元推理文庫) 江戸を舞台にした時代ミステリです。版元の若旦那、花屋二三が愛した女の正体と写楽の正体を探し始める、という内容。写楽の正体はもちろんのこと、当時のさまざまな歴史的事実が写楽という綴じ紐によって括られていくという構えの大きさが楽しい作品です。 (3)島田荘司『写楽 閉じた国の幻』(新潮文庫) 現代の浮世絵研究家である主人公がある問題にぶつかり、それを解決しようとすると同時に写楽の正体を探っていく……それとは別に、江戸時代のパートで蔦屋重三郎と写楽の正体をめぐる別の物語も進んでいくという、高橋克彦の『写楽殺人事件』と泡坂妻夫の『写楽百面相』のいいとこ取りをしたような作品です。