Wリーグサマーキャンプが開催中、新体制、新戦力披露の場に【バスケ】
今年は20チームが参加しての開催に
7月13~15日まで武蔵野の森総合スポーツプラザ(東京都調布市)でWリーグサマーキャンプが、開催されている。Wリーグ所属の14チームに加え、社会人リーグから4チーム、学生選抜、インドネシアからスラバヤ・フィーバーを招待し、交流戦を行うもの。この時期は各チーム、来るべきシーズンに向けて新戦力を含めたテストを行っていく時期。強豪チームは日本代表などで主力選手が不在な一方で、若手選手、移籍選手などはラインナップ入りを目指し、その実力をアピールする場となっている。 【写真8点】Wリーグサマーキャンプフォトギャラリーをチェック それは新たにチームを率いるコーチにとっても同様。自チームの戦力の見極めを含め、さまざまなことを試す場となる。 今シーズンWリーグではヘッドコーチの交代が4チームあった。日立ハイテククーガーズの柏倉秀徳もその一人。昨シーズンまでENEOSサンフラワーズのアソシエイトヘッドコーチを務めていたが、今シーズンより日立ハイテクのヘッドコーチとなった。日立ハイテクはこれまで日本代表のヘッドコーチも務め、ENEOSで一時代を築いた内海知秀氏がヘッドコーチを務めていたが、その内海氏の勇退の後を継いだ。 「ヘッドコーチという立場にはチャレンジしたい部分もあるので、思い切って受けさせていただきました」と柏倉HC。トップリーグのチームで一国一城の主となるのは初めてのことだ。「今は不安というより、楽しみなこと、ワクワクの方が大きいです。自分がコントロールできることに対しては全力を尽くしていきたいですし、そうした姿勢を選手たちにも求めていきたい」と新たなポジションでの心境を語る。 このサマーキャンプが初の対外試合ということもあり「今はまだ選手たちの特徴や相性などを見極めている状況です。ですから、多くの選手を起用しながら試合をしました」と話すが、同時に「40分間強度のあるゲームをできるようにしたいと思っています。フルコートで、前からプレッシャーの高いディフェンスをし、そこからトランジションを早く、意識したオフェンスを展開したいので、そうした部分でも多くの選手を起用していけるようになれば」といった狙いも持っている。 今シーズンの目標を聞くと「やはりベスト4に入れるようなチームを目指します」と言い切る。さらに理想のチーム像を聞くと「中学や高校のチームなどの見本となるような、日立ハイテクのようなディフェンスをしたい、あんなチームにしたいといった憧れとなれるようにしていきたいですね。そのためにもフルコートでの強度の高いディフェンス、アップテンポなバスケットというのはキーポイントになると考えています」と理想を語る。また、「今のチームには将来性のある選手たちも多いので日本代表を送り出したいという思いもあります」との展望も口にした。 柏倉HCは仙台高校出身。昨年6月に亡くなった佐藤久夫コーチの教え子でもある。佐藤コーチはNBAで活躍する八村塁らを輩出した仙台大付属明成高を指導した名将。その以前には、公立高校である仙台高を全国優勝に導いてもいる。高校時代9冠を果たした田臥勇太(能代工高)と同世代の柏倉HC自身は優勝こそ手にしていないが、仙台高校の司令塔として、田臥と共にアンダーカテゴリーの日本代表に選出されるほど活躍した選手だった。 「佐藤先生には人生の節目節目で報告や相談をしていました」と柏倉HCは振り返る。実は、佐藤氏は柏倉HCが指導者の道に進むことを望んでいたのだ。筆者が佐藤氏と取材で共にした際に「あいつは指導者に向いている。指導者になるなら早い方かいいんだけどな」と現役を続けていた当時の柏倉氏について話していたのを思い出す。しかし、そうした話を柏倉HC自身は聞いたことがないと言う。 「僕自身が自分の今後について報告をすると、『そうか、そうか』と聞いてくれていました。自分の判断を尊重してくれ、ああしろ、こうしろとは言われたことはなかったです」と恩師とのやり取りを思い出していた。 そんな柏倉HC率いる日立ハイテクはサマーキャンプの初戦でプレステージ・インターナショナル アランマーレと対戦。序盤でリードを奪われたが、その後逆転し勝利を収めた。交流大会であるサマーキャンプでは、必ずしも勝利だけを目指して戦うわけではないが、指揮官に就任したばかりの柏倉HCにとって、幸先の良い出だしとなっただろう。 新天地で迎える選手がどんなパフォーマンスを見せるのが、コーチがどんな采配を見せるのか。この時期のチームの状況を見ておくと、今シーズンのWリーグをより楽しめることになるのは間違いない。