『響け!ユーフォニアム3』第12話、原作ファンも納得の再構築に完敗&乾杯
「侘び寂び」の侘び的なよさ『変人のサラダボウル』第12話
こちらはこちらですごかった。岐阜にいる変人たちの愉快な日常を描く本作。「人種のサラダボウル」であるニューヨークタイムの有名交差点で広告を出して迎えた最終回は、パチンコ『海物語』をカメラで直撮りした映像を妙に長尺で流したり、サイドストーリーで生まれたガールズバンド(メンバーは異世界から来たホームレス、カルト宗教の教祖、元キャバ嬢)の救世グラスホッパーが急に人気爆発してデカ箱を埋めてメジャーデビューしたり、小学生ヒロインの卒業式はギャグとライブ(タイトルは「なんかフワッとした歌詞の前向きなポップソング」)で済ませたり。しかもオチがそのバンドメンバーのカルト宗教の教祖がインサイダー取引で捕まるという益体もないもの。なんだそりゃ。 でもそれでいいんです。アニメの最終回だからと変にシリアス展開になるのもアリですが、日常ものなんだからこれくらいのちょっと特別な出来事があるくらいでもいい。「日本各地に存在するパッとしない地方都市のひとつ」岐阜での日々なんだから、こういう作風も、ローファイ気味な(だけどときにハッとさせられる)映像も、いい具合に力の抜けた2つの主題歌も全部マッチして、とてつもない愛しさが生まれる作品でした。 本編ラストに流れるオープニング主題歌の後半ではあの岐阜駅前にある黄金の織田信長像がずっと映されていて、「最終回だけに尾張(終わり)ってことか~」なんて納得していたら、調べてみると尾張国は愛知県西部のことでした。そんな勘違いからくる「タハハ……」感のある出来事も、この作品にふさわしかった。
はるのおと