ニャンとも奥深い! 福岡のねこ写真展で岩合光昭さんに聞いた
「ネコは暮らしのバロメーターのよう」――。日本各地で暮らすさまざまなネコの姿をとらえた、人気の動物写真家・岩合光昭さん(73)の写真展が、福岡市・天神の福岡三越で開かれています。12月18日まで。開幕にあたり、福岡を訪れた岩合さんに、ネコへの思いや撮影のエピソードを伺いました。 【写真・動画】多彩なネコの姿に出会える会場
牛になめられて
ネコ同士でけんかしたり、ひなたぼっこしたり、牛に背中をなめられて困っていたり――。会場の福岡三越9階・三越ギャラリーには、北海道から鹿児島県まで、各地で撮られた写真計約150点が並びます。 「この子は、ウシに背中をなめられていて。撮っているとだんだん困った顔になってきたから、(撮影を切り上げて)助けてあげたんです」 岩合さんは終始にこやかに、会場に並ぶ作品のエピソードを明かしてくれました。 岩合さんは2012年から、NHK BSの番組「岩合光昭の世界ネコ歩き」で世界各地に暮らすネコを撮影。コロナ禍で休止後、撮影地を国内に限って再開し、22年の放送開始10年の節目に、「岩合光昭の日本ねこ歩き」と銘打った全国巡回展を札幌市からスタートさせました。福岡三越は全国8か所目で、福岡県では初めて。岩合さんの写真展は、同店で4年ぶりの開催とのことです。 福岡で撮影された作品は16点。糸島市では、ハワイから移住してきた画家のアトリエで、白猫「ポポキ」に出会いました。 「広いギャラリーを自由に歩き回っていて。画家が即興で、ネコの絵を描いてくださったのも印象的です」 猫が多く住む宗像市の地島も、好きな撮影地の一つ。「島民がネコに優しく、面倒を見てくれているからでしょうね。ネコが楽しく、幸せそうに過ごしています」
日本でよかった
ところで、テレビ番組のためビデオカメラで撮影しているのに、どうやってこうした写真が撮れるのでしょうか? そんな素朴な質問にも、気さくに応じてくれました。 「いい質問ですね。ビデオカメラを三脚で固定して撮影している間に、首から下げた(スチール用の)カメラで撮っています」 ――ネコたちとの距離の縮め方は。 「モデルになってくれるネコは、カメラを向けてもいやがらない子が多いです。僕の場合、『いい子だね』『おはよう』といった声かけをします。こちらが身をかがめたり、はいつくばったりすると、興味を持って近づいてきてくれることも。そうした交流のあと、カメラを回すようにしています」 ――今回の写真展のテーマは「日本ねこ歩き」ですが、「日本」のネコについてエピソードがあれば。 「撮影の時、意図しないことばを発したことがあります。京都のお寺で、緑のコケ、真っ赤なモミジの中に、黒ネコのクロベエが現れたとき。マイクが拾った僕の声は、『日本に生まれて良かった』だったんです。ネコに改めて気づかされたことですね」