米メディアが「6人のMLB永遠の野球人」の一人に43歳のイチローを選出
ニューヨークタイムズ紙は「永遠にいつまでも野球である時」というタイトルで、メジャーリーグで長く活躍する、6人の選手、アナウンサー、コーチ、審判を取り上げ、マーリンズのイチロー外野手(43)がピックアップされた。選手からは、マーリンズのイチロー、エンゼルスのアルバート・プホルス((37)、ヤンキースのCC・サバシア(36)の3人。このほかにドジャースのスペイン語実況担当のハイメ・ハリン氏、ダイヤモンドバックスのデイブ・マッケイコーチ、ジョー・ウエスト審判が取り上げられた。 記事は、「今シーズンの野球が昨シーズンまでと違ったものになることを我々は知っている。そして、どのようなことを寂しく感じるかを」と書き出している。長年、ドジャースの実況を努めたビン・スカリー氏や、レッドソックスの指名打者、デービッド・オルティス、ヤンキースのアレックス・ロドリゲスらが、引退したことの寂しさについて触れている。 「しかし、恐れることはない。ここには全てをやり遂げ、そしてまだ今も舞台に立っている6人の男たちがいる」と続けた。 イチローは「ザ・ヒッター」として、一番目に紹介された。 強打のプホルスは「ザ・スラッガー」、投手のサバシアは「ザ・ハーラー」だ。 イチローの生年月日「1973年10月22日生まれ」と書き、続いて「4308安打(日本で1278安打。米国で3030安打)26シーズン目」と日米通算の成績を記している。 「日本と米国での25年にわたる野球のシーズンで、彼は3割2分4厘の打率を残している。とてもよい数字だ。しかし、こんなふうにも言うことができる。イチローはヒットの出ない打席が9000回あったと」。 記事は、成功者であるイチローの失敗を逆説的に表現し、イチローが決して現状に満足せず、今も向上心を持って、日々挑戦していることへとつなげている。 イチローのコメントも紹介されていて、通訳を通じて「改善させようとすること、見つけようとすること、それは毎日のことだ。それを何度も、何度も」と、プロとしての心得を話したという。 同紙は「43歳で、何千本もの安打を打った後で、イチローは、まだ遂げていないことへの挑戦を止めることを望んではいない。マーリンズの控えの外野手となった現在でさえ、彼の毎日のアプローチは、これまでと同じだ」と、イチローの姿勢を絶賛した。 マーリンズのマッティングリー監督も取材されており、「私が何年か見ていたときのデレック(ジーター)のようだ。始めから終わりまで一貫しているように見える。彼は自分であることから逃げていない」と、イチローとジーターの姿勢が重ねられた。 「マリナーズでの最初の10年間は、毎年、オールスターに選ばれ、ゴールドグローブを受賞し、3割を打ち、200本の安打を打った。とうとうメジャーで3000本の敷居を跨いだのは昨年のこと。彼は、自分の技術が広く知れ渡ったと感じたようだ」と伝え、イチローの「人々の見る目が変わった。よい数字を残すと周りの人々は、よい選手として自然に受け入れる」というコメントを掲載した。 記事では、さらにイチローのプレースタイルがいかに魅力的かについても強調されている。 「イチローほど、野球がこの世に誕生した意図を具体化させてくれる選手は今世紀では他にいない」 ホームラン、三振、四球だけでなく、投手が投げることでプレーが始まり、打撃、守備、走塁へとつながっていく、元来の野球のあり方を体現してくれる選手だとしている。 記事を執筆したケプナー記者は、イチローのプレーに野球のもともと意図されたおもしろさを感じ、そこから、野球の聖地であるニューヨーク州の米野球殿堂とイチローとを結びつけた。 「これまでにイチローは7回、野球殿堂を訪れた。将来は、殿堂の中に入るだろう。彼は(野球殿堂訪問について)“ただ、そこにいるだけで心地よい感じがするところ”と話した」と締めくくった。