“もうすぐ還暦”山口智子「“年を取る”ってめっちゃ楽しいですね」糸井重里が語った“年を重ねるメリット”とは?
TOKYO FMで月曜から木曜の深夜1時に放送の“ラジオの中のBAR”「TOKYO SPEAKEASY」。今回のお客様は、ほぼ日代表の糸井重里さんと俳優の山口智子さん。ここでは、間もなく還暦を迎える山口さんが人生の先輩である糸井さんと“年を取ること”について語り合いました。
◆「65歳になると60歳になる」その深意は?
山口:私、今年で還暦なんですよ。 糸井:いいですね~。 山口:還暦って“ひと巡りして生まれたてなんだから、赤ちゃんと同じ感覚でいいよ”“生きていくために必要なものだけを選りすぐっていいよ”みたいな、そういう緩くて楽しい許可をいただいたような気がしていて(笑)。 糸井:本当はとっくに、許可はあるんだけどね(笑)。 山口:(笑)。それに“いつ気づくか”なんでしょうけど、そういう意味で60歳は良いチャンスというか、良い区切りをいただけるなと。そう思った途端に“人生って、こんなに楽でいいんだ”と思って楽しくなってきまして。 糸井:60歳ぐらいは楽しいですよね。 山口:どんな60歳でした? 糸井:50って100の半分じゃないですか。だから僕は、50歳のときに“うわ~、50歳になっちゃった”って思ったんですけど、実は「ほぼ日」を始めたのが50歳なんですよ。 山口:はい。 糸井:そういう意味では“まだ大丈夫だ”と思っていたんだけど「50歳」という数字にちょっと“うわ~”と思ってしまって。そのことを知り合いの当時60歳の人に伝えたら、「糸井さん、60歳にならないとそう思っちゃだめだよ」って言われたんですよ。それに「例えば、50歳でモテた場合は、ただ(魅力があって)モテているんです。でも60歳でモテた場合は、そこにちょっと同情も入っているんですよ」って(笑)。 山口:フフフ(笑)。 糸井:その人が真面目な顔をしてそう言ったので“そういうものか”と思って60歳を覚悟したんですよ。でも、実際に60歳になったとはいえ(50歳で)できたことが同じくらいできるんですよね。でも……ちょっと先輩ぶるんですけど、65歳になると60歳になるんです。 山口:ん? どういうことですか? 糸井:つまり“60歳になった”っていう瞬間は、まだ50代の10年の経験があるから“ただ数字が変わっただけ”なんですけど、60代を5年ほどやっていくと“60歳になったなぁ”ってだんだん分かってくるんです(笑)。 山口:5年もかかるんですか(笑)? 糸井:かかる(笑)。そして、65歳になると“本当だ!”って思うんです。 山口:時間差攻撃でやってくるんですね(笑)。じゃあ、70歳に近くなるとどうなるんだろう? 糸井:70歳のときもやっぱりまだわかんなくて。ただ75歳になった今は“70歳になったな”と思っていますね。 山口:(笑)。 糸井:あと、もっと諦めが良くなって“これでいいのだ”っていう力がつくというか。60代のときは、まだ結構元気なんですよね。でも70代も半分ぐらいいくと、検査にしても何にしても病院に通う日が多くなって、そこで“本当だな”と思って。 山口:でも最近、(人生の)残り時間がもうちょっとだと突きつけられることって、意外に嫌じゃないなって思うんです。私はまだ50代を引きずってる60歳ですけど、“残り時間が……”って言われてやっと“お、じゃあ本気を出すか!”みたいな。それで今回“会いたい人に会っておこう”みたいなことで(糸井さんとの共演が)実現したり。 糸井:恥をかくのを怖がらなくなるっていうのは、年を取ったがゆえの良さですよね。「知らないから教えて」って言いやすくなるし、そういう意味では“年を取れば取るほど楽になる”というのは大いにありますよね。これからきっと、もっと感じるようになりますよ。 山口:じゃあ、これからもっと楽しくなっちゃうんだ!“年を取る”ってめっちゃ楽しいですね(笑)。 糸井:本当にそうですね(笑)。 (TOKYO FM「TOKYO SPEAKEASY」放送より)