小島秀夫監督&盟友ファティ・アキン監督が対談『RHEINGOLD ラインゴールド』は現代人の閉塞感を打ち破る!
さらに小島監督は、カターを演じた主演のエミリオ・ザクラヤについても「初めてビジュアルを見た時は、少し地味な印象を受けたんですが、彼が出てきた途端に心をわし掴みにされましたね。あの役柄に合っているし、身体能力もあって素晴らしい」と絶賛し「革ジャンとジャージが似合って、血まみれになった顔がまた最高なんです。ボコボコにされた時の顔が、かつてのロバート・デ・ニーロを思わせる。もう(国際的に)ブレイクしているのかもしれませんけど、ハリウッドでも通用すると思います」と太鼓判を押す。 エミリオは現在、古代ローマをテーマにした、ローランド・エメリッヒ監督のドラマシリーズ(「ゾーズ・アバウト・トゥ・ダイ(原題) / Those About to Die」)に参加している。
若者必見!ポジティブになれる傑作
「ファティの映画って、悲しい終わり方をすることが多いんですけど、今回はすごくポジティブになれる、ハッピーエンドが待ってます」という小島監督。 そのうえで、「今は何でもデジタルに記録される世の中になったので、どんな失敗をしても後々まで残り続ける。だから一回でも失敗すると、夢を諦めてその後の人生がフリーズしてしまうと考えている人も多くて、誰もがすごい閉塞感の中で暮らしていると思うんですけど、この映画を観れば、まだまだ自分もいけると思えるはずです」と本作の意外な見どころを指摘する。そして、「今は落ち込んでいる若者もけっこう多いと思いますが、この映画を観たらすごく元気が出ると思いますし、最終的にすごくポジティブなものをもらえる作品になっているので、ぜひ観てほしいですね」と続ける。
小島監督の言葉を受けて、アキン監督は「この映画は、表現の自由についての映画だと思っています」と断言。日本の観客に向けて「カターは刑務所のなかで制約を乗り越えてアルバムをレコーディングしました。四方を壁に囲まれていても、彼のマインドだけは自由で、刑務所の外にあったんです。彼にとっての成功とは、アルバムが売れることではなく、作ることにこそあったと思う。自由は自分の心にあるのだということを、日本の観客の皆さんとも分かち合えたらうれしいですね」と笑顔を見せた。(取材・文/編集部・入倉功一)
映画『RHEINGOLD ラインゴールド』はヒューマントラストシネマ有楽町、シネマート新宿、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほかにて全国順次公開中