独Ifo期待指数が予想外の低下、政治など影響か-投資家は楽観
(ブルームバーグ): ドイツ企業の景気見通しは12月に悪化し、欧州の主要経済国が直面する課題が浮き彫りとなった。政権交代が起こる可能性の高い来年の議会選などが影響しているとみられる。
Ifo研究所が17日に発表した12月の期待指数は、前月の87から84.4に低下した。ブルームバーグがまとめたアナリスト予想では微増が見込まれており、予想外の下落となった。現状指数は上昇し、企業景況感指数は前月の85.6から84.7となった。
Ifoのフュースト所長はブルームバーグテレビジョンのインタビューで、「このドイツ経済の弱さは慢性化しつつある」と述べ、長期間停滞しているので「次の政府は経済成長を優先する必要がある」との考えを示した。
対照的に、投資家の間では楽観的な見方が広がった。欧州経済研究センター(ZEW)が17日発表した12月の期待指数は7.4から15.7に急上昇し、ブルームバーグがまとめたアナリスト予想を上回った。
ZEWのバンバッハ所長は、「総選挙が迫っており、民間投資を促す経済政策が期待されるほか、さらなる利下げの可能性も見込まれているため、経済見通しは改善している」と述べた。
欧州一の規模を持つドイツの経済は、2024年も2年連続で縮小する見通しだ。ドイツ連邦銀行(中央銀行)は25年には緩やかな回復を見込んでいる。ただ、国内やフランスの政治的混乱、米国のトランプ次期大統領が導入する可能性のある貿易関税など、さまざまなリスクもある。
ドイツの苦境の多くは構造的なもので、急速に好転する可能性は低い。自動車メーカーは長年にわたり中国との競争に苦戦し、エネルギー集約型産業は高コストに苦しめられ、経済の基盤である中小企業は官僚主義に押しつぶされている。
一方で、来年2月の議会選が、何らかの救済をもたらすとの期待が高まっている。次期首相と目されているキリスト教民主同盟(CDU)のメルツ党首は、規制緩和と減税を約束する、ビジネスに追い風となる自由主義的な政策を掲げて選挙戦を展開している。また、将来の景気拡大に向けた基盤を築くとして、公共投資の拡大にも前向きだ。