「新たにワイン200本設置」 鹿児島県・大島海峡 顧客からの「預かりサービスも」
東京都のPR会社「III Three(アイスリー)(東京都渋谷区、森谷悠以代表取締役社長)は9日、鹿児島県瀬戸内町で取り組んでいる海底熟成ワイン事業の「tlass SEA CELLAR」の2回目の潜水設置と顧客からワインを預かり海底熟成するサービスをスタートした。瀬戸内漁協や町役場職員ら8人が参加。専用の棚に並べられた赤、白、スパークリングの各ワインボトル計200本を水深20㍍の海峡内の海底に設置した。 同社では2020年に同町と企業連携協定を結ぶ酒造会社と海底熟成の試験を行ったことをきっかけに、新規事業として日本で唯一海峡を持つ同町の穏やかな海を活用した海底熟成ワインセラー事業「tlass SEA CELLAR」と、そのセラーで熟成したワインが飲めるワインバーを同町の清水集落に創業した。また、熟成ワインは昨年11月頃に同町のふるさと納税の返礼品として登録されている。 2回目となる今回は1回目と異なるワインを準備。預かり分12本と調査用、販売用の188本の計200本を専用の棚に入れて、船に搭載。漁師らが海に潜り、場所を確認した後、棚を慎重に海底に沈めた。 同社に預かりサービスを依頼した全国で宿泊業を展開する㈱UMITO(東京都)の堀鉄平代表取締役社長(48)は「弊社の『海と共に』をテーマに持続可能な観点からでもワインの棚が藻場の造成や漁礁になっていることなどから今回依頼した。今後、奄美で三つの宿泊施設を展開予定で、ワインは利用者特典やホテルのディナーとして提供していきたい」などと語った。 tlass事業責任者でもある森谷社長(39)は「2年目も無事に設置できて安心している。昨年の知見を生かしてより精度の高い海底熟成に結びつき、預かりサービスを今回初めて実施し、企業様にも実際の作業を見ていただいた。今後はよりこうしたサービスも本格化していきたい」と語った。 設置したワインは今年6月末まで海峡内で熟成させ、7月頃に、インターネットなどで販売される予定。