<“ミドルパワー”から求愛されるアフリカ>盛んな投資を受けるも貧困から脱却できない複雑な背景
エネルギーの面でもアフリカが取り残されているとの指摘がある。8月28日付のFT紙の論説によれば、アフリカの原油生産国は石油ブームに乗り遅れており、この地域の主要石油輸出国10カ国は、現在よりも原油価格が安かった2010年よりも貿易黒字は減少しており、債務負担は増加し、そして原油生産量が大幅に低下している。 これは長年の投資不足と米国のシェールガスやガイアナ等の新たな石油生産などの影響もある。これらの国の石油生産の減少は、経済開発や気候変動対策としての長期的なエネルギー転換のための資金動員にも悪影響を及ぼすことが懸念されている。
解決すべき問題は複雑に絡み合う
アフリカ諸国にとって、インフラも重要であるが、内戦や紛争を抱えている場合にはその解決が最優先であり、医療などの社会サービス、雇用創出のための投資、気候変動の対策、石油産出国であれば新規油田や設備のメインテナンスのための投資などに資金が配分されなければならず、国ごとに優先順位は異なると思われ、また解決には時間がかかる問題も多い。従って、アフリカ支援のためには総合的でまた長期的な取り組みが必要であり、ミドルパワーといえども、1国だけの努力には限界があろう。 なお、そのような観点からは、日本のイニシアティブとしてアフリカ開発会議(TICAD)があり、19年の第7回TICAD以来、アフリカ連合(AU)の「アジェンダ2063」に沿った協力を進めている。
岡崎研究所