フジは後輩イジリ、日テレはドラマの不祥事… 「業界ノリ」に白い目が向けられた2024年 「好きな女性アナウンサーランキング」にも影響が
日テレはドラマで、フジは後輩イジリで……「業界ノリ」に白い目が向けられた2024年
朝の情報番組といえばドラマや特番の「番宣」の場としても使われるだけに、注目度が高ければ高いほど、ゴールデンやプライム帯への有効な呼び水となる。その点、TBSはドラマも強い。今年の「現代用語の基礎知識選 2024ユーキャン新語・流行語大賞」で「ふてほど」が「年間大賞」を受賞した「不適切にもほどがある!」をはじめ、「アンチヒーロー」に「Eye Love You」……放送中の「海に眠るダイヤモンド」もだが、オリジナル脚本でクオリティーの高い作品を次々に生み出すことにかけて定評がある。そのため各芸能事務所も、ドラマの打診が来たらTBSかNHKを最優先するといわれるほど。いま注目の俳優やアイドルが、ドラマの宣伝に来るとなれば、「ラヴィット!」にとってもドラマにとっても視聴者の囲い込みにつながるに違いない。 一方でドラマ制作自体に暗雲が立ち込めたのが、「セクシー田中さん」問題を起こした日テレだ。4月期に予定していた漫画原作のドラマも急きょ中止となった。今年はジャニー喜多川氏の性加害問題もあって、メインパーソナリティーにジャニーズを起用してきた「24時間テレビ」にも批判の目が向けられた。朝の情報番組で自局の番組を宣伝したくともできない状況が、少なくとも秋ごろまで続いたように見える。 またフジでは、「27時間テレビ」のTシャツを着た新人アナの見た目をイジる「めざましどようび」の動画が大炎上。“被害者”の上垣皓太朗アナは入社1年目にして「好きなアナウンサー」4位と大健闘を果たしたが、2022年に4位だった生田竜聖アナの好感度は急降下。さらにフジは訴訟終結を発表した松本人志さんの出演番組が最も多い局として、今後の動きが注目されている。立場の弱い人間に我慢や忖度を強いる業界ノリや内輪ウケへの嫌悪感が、局を超えてあらわになった一年だったといえるのではないか。
テレビ局はもはや憧れの場所ではない……「好きなアナ」たちに見る地味さ・地道さの再評価
90年代には就職人気ランキングでも上位だったテレビ局だが、今ではベスト50にも入らないという。マイナビと日本経済新聞社による2025年卒の大学生に聞いたアンケートでも、かろうじて文系女子の40位にNHKが入ったのみで、民放の名前は出てこない。世間とはズレた価値観の人たちが働く、ブラックな職場というイメージがついてしまっているのかもしれない。 もはや憧れの場所ではなくなった業界で、業界の顔たるアナウンサーたちに求められるものも変わっていくことだろう。今までは若く華やかでバラエティー映えするスキルが一番だったが、目立たぬ場所でも地道に頑張る姿こそ共感を集めるのではないだろうか。 テレ朝ではバラエティー女王の弘中綾香アナから、地に足の着いた進行のできる大下容子アナへと注目が移った。TBSでは21年目にして初めて「好きなアナ」に入った赤荻アナや、実力派と長年いわれながらも華やかなランキングでは今ひとつ影の薄かった江藤アナが躍進。 田村アナも当初は政治家の娘という出自もあって、コネ入社のお嬢さんという見方をされる向きもあったが、もうただの2世アナとは馬鹿にされない。よくある2世アナのようにバラエティーに全振りすることなく、ニュース読みもきちんとこなしながら「ラヴィット!」で見せるお茶目な姿には、頼もしさを覚えた視聴者も多かったことだろう。 楽しくなければテレビじゃない、というフジから、頼もしくなければアナウンサーじゃない、を見せつけたTBSの時代へ。アナウンサーランキングだけでなく、局のパワーバランスも大きく変わる潮目を迎えそうだ。 冨士海ネコ(ライター) デイリー新潮編集部
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