KDDIら、ローソン店舗をハブとしたドローン配送を秩父市で実証へ
KDDI、KDDIスマートドローン、ローソン、ちちぶ結いまち、埼玉県秩父市が提案した「モビリティハブで実現する共同配送とドローン活用によるCO2削減」の取り組みは、10月2日に環境省の「令和6年度運輸部門の脱炭素化に向けた先進的システム社会実装促進事業」に採択された。5者が同29日に発表した。 同実証では2025年1月以降、秩父市浦山地区において物流営業所から配送される荷物をローソンの店舗や道の駅などの中継拠点(モビリティーハブ)に一時集約する。モビリティーハブからは、ドローンでの直接配送やローソンの移動販売車両の活用により、ローソンの商品も含めて個人宅までのラストワンマイルを配送する。 同実証のドローンは、モバイル通信を利用した遠隔自律飛行で行われ、秩父市の山間部などの電波の届きにくい一部エリアについては、衛星ブロードバンド「Starlink」の活用によりモバイル通信環境を確保する。 ドローンを活用した配送により、人手不足が深刻化する物流業界の省人化や、買い物困難者へのラストワンマイル配送の実現が見込まれる。物流業界は日本の二酸化炭素(CO2)排出量の約2割を占める中、少量の荷物でも効率的に配送可能なドローンを活用することで、CO2の削減も期待される。 同実証では、取り組みの有効性を評価し、ほかの地区への拡大を検討する。5者は、秩父市浦山地区の物流配送で年間排出されるCO2の約6割削減を目標としている。 秩父市では、災害発生時や観光渋滞などにより、日常生活における生活交通・物流などの生活インフラの維持が困難という課題を解決すべく、2020年11月から物流/公共交通ネットワーク「秩父モデル」の構築へ向けて、共同配送の取り組みを進めている。 秩父市の中山間地では、少子高齢化の進展が著しく、生産年齢人口も年々減少傾向にある。特に物流業界では、配送トラックのドライバー不足が顕著になっているという。 中山間地では、人口減少に伴い配送荷物の量も年々減少しており、トラックの積載率も低下傾向となるため、1個当たりの配送コストが肥大化する課題がある。面積が広く集落が点在する地域では、トラックの1日の移動距離も長くなる傾向があり、配送効率を悪化させる要因の一つとなっているという。これを受けて、5者は同実証の実施に至った。