赤字にあえぐ中国自動運転業界、巨額の開発費が重荷に 上場企業も収支マイナス
赤字体質を脱却するには?
自動運転分野では研究開発に多額の投資が必要で、技術的な難易度も高い。ホライズンが過去3年間に投じた研究開発費は総額53億9000万元(約1100億円)に上り、売上高の倍近い数字になっている。Pony.aiも売上高の2倍以上を開発につぎ込んでいる。黒芝麻智能に至っては、3年間に費やした研究開発費が売上高の5倍を超えていた。 際限なく増え続ける研究開発費に対し、売上高には限界がある。これが自動運転開発企業の黒字化を阻む主な要因かもしれない。 業界関係者は、資金投入と収益が釣り合っていないことが最大の問題だと指摘し、「自動運転開発企業の収益は、システムを搭載した車両の売れ行きにかかっている。システム搭載車の売れ行きが悪ければ、自動運転開発企業の収益も伸び悩む。消費者の節約志向で自動運転システム搭載車が選ばれないこともある。サプライヤーへの支払期限など複数の要素が重なると、経営はいっそう苦しくなる」と語る。 中国乗用車協会(CPCA)が発表したリポートによると、2024年上半期の新エネルギー乗用車市場では、L2以上の運転支援機能を搭載した車両が66.4%に達した。搭載車の多くは高価格帯のモデルだという。 では、自動運転開発企業はどうすれば確実に利益を上げられるのだろうか。 専門家は、技術の進歩や普及率の高まりに伴い、2~3年以内に黒字化する企業が現れると予測する。自動運転開発企業が黒字化を達成するには、目の前に現れる問題を解決して競争を生き抜く力をつけなければならない。まずは、運転支援システムの量産を実現して、特定エリア内で自動運転技術を実用化すると同時に、資金調達を進めて企業としての健全な運営を確立する。次に、自動運転システムのコストや安全性、信頼性などを確立し、市場で戦っていけるだけの競争力を持ち合わせているかを検討することが必要になる。 2025年は自動運転開発企業が赤字から黒字に向かう分岐点になるとみられている。Pony.aiは、25年には売上総利益がプラスになり、ロボタクシーの大規模商用化をスタートできる見通しだとしている。業界全体でも、26年頃にはロボタクシーサービスの商用化が実現すると見込まれている。調査会社フロスト&サリバンは、中国が世界最大のロボタクシーサービス市場に成長し、30年には世界のシェアの半分以上を占めるようになると予測する。 ただ、市街地向けの運転支援機能NOA(Navigation on Autopilot)はユーザー目線でまだ実用レベルに達しておらず、進んで利用したいとは思えない。ホライズンの創業者・余凱氏は「市街地向けNOAの市場競争は始まったばかりだ。競争が本格化するのは2025年に入ってからだろう」と語った。 *1ドル=約154円、1元=約21円、1香港ドル=約20円で計算しています。 原文:時代財経APP(WeChat公式ID:tf-app)