神戸の名物温泉「神戸クアハウス」が33年に幕、「すべてを捧げ」支えたスタッフも
神戸・三宮駅から徒歩10分ほどにありながら、2つの温泉と名水の水風呂を備えた「神戸クアハウス」が、3月31日をもって休館することに。オープンから約33年、同施設とともに駆け抜けてきた支配人代行の坂本順子さんを尋ねてみました。 【写真】愛された「水汲み場」は4月末に終了
◆ 駐車場のリノベから生まれた「温泉施設」
同施設は、創業者が1985年頃に敷地内で発見した温泉を多くの人に利用してもらいたいと、駐車場をリノベーションして1991年3月10日にオープン。「当時は都心で温泉が湧いたっていうので、非常に話題になりました」と坂本さんは話します。 創業当初から働いていた坂本さんが、支配人になったのはオープンから約2年後で、本人曰く「なる人がいなかったから(笑)」。元小学校教諭の坂本さんに支配人の経験はもちろんなかったため、「最初は慣れないので失敗もいっぱいしましたし、接客もイチからという感じでした」。それでもやさしい雰囲気そのままに、約60人のスタッフと 「神戸クアハウス学級」のように力を合わせて営業してきたという。
◆ 常連客が集う処「そういう場所であったことがうれしい」
そして、来る1995年1月17日。京阪神エリアを激しく襲った『阪神淡路大震災』では、多くのタンクや設備が壊れました。それでも温泉と水は沸き続けていたので奔走し、震災の約1カ月後に2週間お風呂を無料開放。「1カ月ぶりにお風呂に入りましたという方もいらっしゃいましたしね。冬でしたから『あったまった。本当にありがとう』って言ってくださる方もいて、ちょっとでもお役に立てたかなと。あのときみなさんに喜んでいただいた経験は、私の原点になっています」と、振りかえります。 「コロナ禍などの大変なときも、常連のお客さまに支えられたから今まで続けてこられたと思います。お風呂って、昔からの日本の文化なんでしょうね。ここで風呂友になった方たちもいっぱいいらっしゃいますし、ここに通うことが健康のバロメーターとおっしゃる方もいらっしゃいます。ここで大きなお風呂に入って、みなさんとお話しして・・・行き帰りの道はあるけどもそれもまた楽しいという、そういう場所であったことがうれしいです」