【巨人】今季初勝利の山崎伊織の集中力に同僚もビックリ
◆JERA セ・リーグ ヤクルト1―3巨人(9日・鹿児島) 巨人先発の山崎伊織投手(25)は6回途中6安打1失点と粘って今季初勝利を挙げた。 【動画】山崎伊織&赤星優志がノックで走る!捕る! * * * 一つ息を吐き、目の前の打者との対戦に集中力を研ぎ澄ませた。山崎伊には、鹿児島の観客1万8289人の声援は聞こえていなかった。0―1の4回2死三塁。塩見をフォークで仕留めた空振り三振が、5回の岡本和の逆転V打の伏線になった。今季2度目の登板で5回2/3、107球を投げ6安打1失点で今季初勝利。「ホッとしています。先頭を出したり、長打でリズムが悪くなった中、粘って1失点で抑えられた。自分の仕事は最低限できた」と汗を拭った。 苦しみながら、食らいついた。鹿児島での登板は5回1失点だった3月12日のソフトバンクとのオープン戦で経験。しかし、2回に長打や犠打野選などで無死一、三塁。武岡の中前適時打で先制を許すと、毎回走者を出した。最速149キロの直球に、多彩な変化球を投げ分けたが「最初から操れるボールが全然少なく、苦しかった」と4イニングで三塁に走者を背負い、四死球も5つ。1点リードの6回2死満塁で降板も、最少失点で粘り切った。 今季にかける思いがある。3年目の昨季、自身初の2ケタ勝利の10勝を挙げ、順調に実績を積んでいるが「去年1年間だけ良かったと思われないように続けることが大事」と言い聞かせてきた。春季キャンプの全体練習後、一人黙々と「大学の時からやってて、体を大きく使うように」とシャドーピッチングをしながら、大股で前に進むトレーニングを行っていた。普段はいたずら好きで明るい性格。いつもの笑顔からは想像もつかない真剣な表情は、他を寄せ付けない緊張感を漂わせていた。 プライベートでも仲がいい船迫は言う。「伊織は真面目にやってる時は『話しかけんなよ!』ってぐらいの集中力がある。野球に対してストイックで、一緒にグラウンドに立っているとすごく感じる」。G球場のブルペンでは投球に集中するためカメラの撮影も嫌うほど。自らも「集中力は大事」と語り、本番を想定しながら腕を振ってきたことが、ピンチでこそ生きる。 「粘って粘って投げたら野手の方も守ってくれますし、点も取ってくれる。次も粘り強く頑張ります」と背番号19。苦しい時でも強い思いをマウンドでぶつけ続ける。(水上 智恵)
報知新聞社