実はつらい成長痛。保護者の寄り添いかたは?【医師監修】
寝ている間に、お子さまがひざやかかとをひどく痛がることはありませんか。泣くほどの痛みに心配になりつつも、翌朝には全く痛がらずに走り回っている姿に拍子抜けしてしまったこともあるかもしれません。このようなケースは「成長痛」の可能性が。 東京医科大学教授で小児科がご専門の山中岳先生にお話を伺いました。成長痛とはどのようなものか、原因や対処法、受診の目安についてご紹介します。
監修者
山中 岳 やまなか がく 子どもの心身の成長に向き合う現場を20年以上経験するドクター。経験に加え、日本小児科学会専門医・指導医、日本小児神経学会専門医・指導医、日本てんかん学会専門医・指導医、と数多くの認定資格を所持し、日々、てんかんや熱性けいれんなどのけいれん性疾患、頭痛、発達の遅れ、脳性麻痺など、主に神経疾患の子どもの診察を行う。東京医科大学主任教授としても、次世代の医師の育成に力を入れている。
成長痛とは? 何歳ころから起こる?
成長痛とは、幼児期から思春期に起こる子どものひざやかかと、足の甲、ふくらはぎなどの足の痛みの総称です。症状の特徴は次のとおりです。 ●痛みの部位 ○ひざが多い。足の甲やかかとを痛がることもある。 ○痛む場所はいつも同じとは限らず、日によって異なる。 ●時間帯 ○眠い時や夜間に痛がることが多い。朝方に痛がることもある。 ○日中や遊んでいる時、通園・通学中に痛みを訴えることは少ない。 ●時期 ○幼児期、学童期、思春期と幅広い。 ○特に痛みが現れやすい時期は3~5歳ごろ。 痛みの幅も広く、泣くほど痛がることも少なくありません。しかし、レントゲンを撮ってみても異常が見当たらないことが一般的です。
成長痛の原因
成長痛には、疲れや成長に伴う骨の成長、筋肉疲労、ストレスなどが関係しているといわれていますが、はっきりとした原因はわかっていません。 医学的には、骨の成長に伴って痛みが出ることはないとされています。そのため「成長痛」というのもあくまで総称や呼び名であって、正式な病名ではありません。 とはいえ「成長痛」に当たる痛みを訴える子どもが少なくないのも事実です。幼児期~思春期は足の筋肉や骨の発達が未熟なため、疲労による痛みや不快感が現れるとの見方もあるようです。