古事記伝、事前の研究は 50種の著作・草稿から迫る 本居宣長記念館 三重・松阪
夏の企画展 9月8日まで
三重県松阪市殿町の本居宣長記念館(野田幸範館長)は現在、宣長が「古事記伝」を書くまでに何を考えて何を研究したのか、刊行された50種類の著作と草稿から迫る夏の企画展「ふみの森~宣長の著作~」を開催している。自筆原稿など82種137点(うち国重要文化財40点)を展示している。9月8日まで。 古事記伝は古事記全編にわたる全44巻の註釈書。宣長は古事記を解読するために日本語文法、祝詞、古事記の根底にある考え方、世界観など調べて分かった内容をそれぞれ研究成果にまとめた。また、旅の紀行文や学問を志す人に対しての入門書など多様なテーマで書きためた書物を紹介している。 宣長の神道説や国体観などを説いた「直毘霊(なおびのみたま)」の前段階に当たる部分の自筆原稿や接続詞などの語について、読み方や解説などを記した「古事記雑考」のほか、69歳の時に書いた学問入門書「うい山ぶみ」などが並ぶ。「うい山ぶみ」では「何を学ぶかは各々の意思次第だが、『倦(う)まずたゆまず』努力することが最も重要で、始めるのが遅かったとか才能の有無は関係ない」などと述べ学問を志す人を鼓舞する様子がうかがえる。 西山杏奈学芸員は「宣長は古事記伝だけではなく、多くの本を書き残したことを知ってもらえたら」と話している。 開館は午前9時~午後5時(入館は同4時半まで)。月曜日休館。入館料は大人400円。