「走ることが大好きなクルマ通からすれば、正真正銘の天国です!」by 国沢光宏 これがポルシェ911GT3 RSに乗ったモータージャーナリストの本音だ!!
純エンジン車が絶滅していくなか、ポルシェは情熱をまったく失わない!
今年もやりました「エンジン・ガイシャ大試乗会」。2024年、大磯大駐車場に集めた注目の輸入車36台にモータージャーナリスト36人が試乗! 車幅いっぱいの巨大な可動式リア・ウイングをはじめとしたエアロパーツの数々が、通常のGT3とは別格の存在感を放つ。2019年にデビューした992型911に、ついに追加されたポルシェ911GT3 RSに乗った西川淳一さん、国沢光宏さん、大谷達也さんの3人が思わず叫んだ本音とは? 【写真36枚】このサイズで車検が通るのが不思議でならない巨大なリアウイングをポルシェ911GT3RSの詳細画像で確認! ◆「凄まじく懐が深い」西川淳 もはやため息しかない。たとえお金があってもすぐには買えない、という現実よりも、どうしようもなくハイレベルな仕上がりにドライバーとしてまったくもって対峙できる自信がまるでないから。 もちろんそんな難しく考えずに金があるなら、そしてポルシェに選ばれたなら飾っておくだけでもいい、買っておくという考え方もあるけれど、剥き出しの刃をピカピカのまま床の間に飾っておけば絶対に使いたくなるに違いないからヤバい。手練れが試すというならまだしも、素人が真剣に振ろうとするとたとえ道場であってもいらんことが起きそう。だから諦めもついて、ため息しか出ない。ハァ。 ちょいと流した程度じゃ、RSに特別な性能でわかることなんてたかが知れている。せいぜいDRSオンの効く感じ(スーッと浮くように進む)くらい。あとは凄まじく懐の深いこと。公道ではどんなに頑張っても何事も起きそうにない。 サーキットに行けば行ったで自分の技量以上のところへ瞬く間に達してしまいそう。限界まで行かなくても十分に速いとは思う。でも我慢できないだろうな、きっと。やっぱりヤバい。 ◆「正真正銘の天国」国沢光宏 写真でも凄いと思っていたけれど、実車のインパクトときたらはるかに強烈だった。 「このサイズで車検取れるのか?」と思えるF1のような可変式リア・ウイングもさることながら、ボディのいろんなところに穴が開いている。穴の形状も様々。おそらく空洞で時間を掛け、冷却やダウンフォース、空気抵抗など検討したのだろう。その時点で「こりゃまいりました!」です。 今や純エンジン車は絶滅危惧種であり、多くのメーカーが開発を終了している。そんな中、ポルシェって情熱を全く失っていないのだった。走り出すと、もはや走ることが大好きなクルマ通からすれば、正真正銘の天国です。公道だと標準のセットアップで使い切れないほどの性能を持っている。道交法遵守の範囲内で楽しんでみたら、718乗りでもあるEPC会員の方も大喜び! 徳大寺師匠も常々言っていた通り「最高のポルシェは最新のポルシェだね」。そして「スポーツカーはレーシングカーが終わったところから始まる」。多くのクルマ好きに味わっていただきたいと思える「元気の出る究極のスポーツカー」です。 ◆「全身に電気が走る」大谷達也 こんなの反則技に決まっている。9000rpmまで回る超高回転型自然吸気フラット6とパワフルなエアロ・ダイナミクスの組み合わせに、レーシングカーもかくやというくらい多彩で柔軟なセッティング項目を盛りこめば、従来のロードカーをはるかに凌ぐパフォーマンスと刺激を生み出せるのは当然のこと。 7000rpmオーバーまで回してワインディング・ロードを駆け抜けると、全身に電気が走ったかのような衝撃と、脳ミソがトロットロに溶け出したみたいな恍惚感を味わえる。 乗り心地はロードカーとして限界的にハードだけれど、例によってポルシェの技が冴え渡っているのは、これだけ多種多様なファクターを見事に調律し、1台のクルマとして破綻なく仕上げてしまう点にある。 「いつまでエンジン車を作り続けられるかわからないし、ここらで一発、派手にやるか!」というヴァイザッハの意気込みさえ感じられる911の最高到達点……といいつつ、次作であっさりこれを乗り越えたりするのも、ポルシェだったらありうるような気がしないでもない。いずれにせよ、元気になること間違いナシの1台だ。 写真=茂呂幸正 (ENGINE2024年4月号)
ENGINE編集部
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