「まったく的外れ」教員試験「教職専門」廃止発表の茨城県教委に異論噴出「『定額働かせ放題』改善を」現場の悲鳴
茨城県教育委員会は7月23日、公立学校の教員選考試験の「教職専門」を2026年度採用から廃止することを発表した。 茨城県の教員選考1次試験では、「教職専門」(自治体によっては「教職教養」)と「専門教科」の2つを受験する必要がある。「教職専門」は教育に関する総合的な知識を問うもので、廃止によって負担を軽減し、志願者確保の狙いがあるとしている。全国初の試みだという。 これに対し、Xでは多数の反応がみられる。 《何か違うような… 教職教養が嫌で教員志望者が減少しているわけではないでしょ…》 《てか、毎度のことだが、志願者減の原因はそこじゃないのよ。部活動顧問を始めとしたブラック労働環境なのよ》 なかには、現役の小学校教員だという人物からも否定的な声が上がる。 《これは悪手 教員になるにあたって知っていて当然の教育法規や教育心理は担保しておかないと、就職してからも使い物にならない 採用の難度を下げても無意味 現場の待遇が改善されればよいということは現場も教育委員会もわかっているのに…》 都内の公立小学校で教員をつとめる50代女性は、本誌の取材にこう語った。 「まったく的外れ。あきれますね。志願者が減っているのは、教員のブラックな労働環境のためであることは明らかです。『定額働かせ放題』で残業代も支払われないのに、負担は増える一方。朝から晩まで休憩時間もなく働いて、現場はみんな疲弊しきっていますよ。やりがいのある仕事だとは思っているので辞めないでいますが、ワークライフバランスとしては異常な状態が続いています。まずは、この労働環境を改善することが必要ではないでしょうか」 教員の「定額働かせ放題」とは、勤務時間に応じた残業代が支払われない問題だ。公立学校の教員は、月給の4%を上乗せする代わり、残業代や休日勤務手当を支給しない「給特法」という法律の対象となっている。文部科学省が2022年度におこなった調査では、平日1日あたりの学校での勤務時間の平均は、小学校で10時間45分、中学校で11時間1分。残業が月45時間を超える教員は、中学校で77.1%、小学校で64.5%だった。文科省では、教員の働き方改革をめざし審議を進めているものの、給特法の廃止には至らず、上乗せ額を10%以上にする方向だとされる。 「やりがいのある仕事ですが、これからなりたい、という人に勧められるかというと……。今後、よほど大きな働き方改革がない限り、難しいでしょうね」(前出・小学校教員) 古くから「教育は国家100年の計」とはいうもののーー。