債券上昇、米国金利が大幅低下-利上げ警戒で10年0.9%台は買い鈍る
(ブルームバーグ): 8日の債券相場は上昇。大統領選後の買い戻しや連邦公開市場委員会(FOMC)の利下げを受け、米国の長期金利が大幅に低下した流れを引き継ぎ、買いが優勢だ。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大塚崇広シニア債券ストラテジストは、「トランプトレードを巻き戻す形で米金利が低下しており、FOMCもペースは分からないが利下げを継続する姿勢だ」と指摘した。
一方、円安進行を受けた日本銀行の追加利上げ観測は根強く、新発10年国債利回りが0.9%台に低下すると買いが鈍っている。大塚氏は、米大統領選後は投資家の金利先高観が高まっているとの見方も示し、「きのうの10年債入札の弱めの結果にも表れた」と述べた。
FOMCは6、7日開催の定例会合で0.25ポイントの利下げを決定。連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は会見で、今回の利下げを考慮しても政策は依然景気に抑制的とし、「時間をかけてより中立的なスタンスへと移行している」と述べ、利下げを継続する姿勢を示した。
東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストは、米長期金利の大幅低下について「トランプ勝利の宴が終わり、トランプトレードを閉じた格好だ」と指摘。FOMCの利下げは予想通りで、「声明文やパウエル議長会見もあまり手掛かりを残さなかった」とした半面、「10年債利回りの1%がバックストップと期待できる」とみている。
一方、三菱モルガンの大塚氏は、「日銀の追加利上げ観測がにわかに高まる中で、10年債利回りは0.9%台では下げ渋る」との見方を示した。
(c)2024 Bloomberg L.P.
Saburo Funabiki