今年も盛り上がり必至! 『ムーラン・ルージュ!』が待望の再演 平原綾香×井上芳雄、望海風斗×甲斐翔真ゲネプロレポート
昨夏、日本のミュージカル界を熱狂の渦に巻き込んだ『ムーラン・ルージュ! ザ・ミュージカル』が帰ってきた! バズ・ラーマン監督の大ヒット映画をミュージカル化、トニー賞では最優秀作品賞をはじめ10部門の受賞に輝いた本作を、ゴージャスな世界観もそのままに上演した昨年の日本版。今年も望海風斗、平原綾香、井上芳雄、甲斐翔真ら豪華キャスト陣は続投。東京・帝国劇場で6月20日から開幕した本作の、ゲネプロ(公開通し稽古)の様子をお届けする。 【全ての写真】『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』2023年公演より(全18枚) 1899年のパリ。ボヘミアン(自由と芸術を愛する自由人)や、貴族、遊び人などでごった返すモンマルトルのナイトクラブ「ムーラン・ルージュ」では、連日華やかなショーが繰り広げられていた。そんなある夜、花形スターのサティーン(望海/平原のWキャスト。以下同)と、アメリカからやってきた作曲家クリスチャン(井上/甲斐)は恋に落ちる。だがクラブのオーナー兼興行主のハロルド・ジドラー(橋本さとし/松村雄基)は、デューク(モンロス侯爵、伊礼彼方/K)にサティーンのパトロンになってもらい、経営難を乗り切ろうとする。クリスチャンを愛しながらも、昔馴染みのジドラーや踊り子たちを捨てることはできず、葛藤するサティーン。一方、クリスチャンも画家のロートレック(上野哲也/上川一哉)や、タンゴダンサーのサンティアゴ(中井智彦/中河内雅貴)らと共に、新たなショーを作ることでクラブとサティーンを救おうとするが……。 深紅の緞帳やキャストの巨大ビジュアルなどで彩られたロビーを抜け、客席に足を踏み入れるとここにも幾重にも垂れ下がる緞帳とギラギラした電飾、シャンデリアが。両サイドには大きな回る風車と青いゾウが鎮座しているのも、昨年と同じ。舞台には「MOULIN ROUGE」の赤いネオンサインが輝き、一気に『ムーラン・ルージュ!』の世界へと誘われる。 ゲネプロの1日目は、平原サティーンと井上クリスチャンの組み合わせ。本作の見どころのひとつは、「19世紀末のナイトクラブ」という設定でありながら、オペレッタを創始したオッフェンバックからザ・ローリング・ストーンズ、エルトン・ジョン、マドンナ、レディ・ガガまで、さまざまな時代を彩ってきた約70もの“人気曲”で綴る点。平原はこのマッシュ・アップ・ミュージカルを、アーティストならではの深みのある声と陰影豊かな表現力で、パワフルに歌い継いでゆく。デュークに対するあしらいはビジネスライクで、いかにもスター然とした趣き。それだけに、クリスチャンへの眼差しが次第に切なさを帯びる様子が胸に迫る。 井上演じるクリスチャンは、サティーンへの恋情と共に、素晴らしいショー作品を作ろうと意気込む芸術家としての誇りが伝わってくる。後半でのソロも圧巻だ。幕開きの大ダンスナンバー「Welcome To The Moulin Rouge!」から客席をグイグイと引っ張るのは、ジドラー役の橋本。清濁併せ飲む人物像は橋本の真骨頂だろう。どこか暗い影を漂わせるデューク役のKも印象的。誠実さが伝わるロートレック役の上野、頼もしいサンティアゴ役の中井ら実力派が舞台を固めている。